宮沢氷魚はなぜここまで魅力的なのか 『偽装不倫』伴野丈役で見せる、繊細さと大胆さ

『偽装不倫』宮沢氷魚の繊細さと大胆さ

 9月11日の放送で最終回を迎える『偽装不倫』(日本テレビ系)。主演の杏が演じる濱鐘子は婚活に疲れ、実家暮らしのため二世帯住宅にして快適な生活を送っているように見える姉夫婦と、我が身を比べずにはいられない心がすさむ日々を送っていた。そんなときに出会ったのが、歳下でイケメンのフリーカメラマン・伴野丈(宮沢氷魚)だ。

 姉の葉子(仲間由紀恵)から借りた服のポケットに姉の結婚指輪が入っていたことから始まった“偽装不倫”。丈に拾ってもらった指輪をどちらの指につけるのか問われ、とっさに左と答えた鐘子は、既婚であると嘘をついてしまった。

 そして、鐘子が人妻だと信じた丈は「僕と不倫しませんか」と持ちかけて、おひとりさまの自由な時間を満喫するはずが思いがけない展開に……。以降、お互いに本当のことが言えないまま強く惹かれ合う2人の恋のゆくえに熱い視線が注がれている。

 そもそも、最初から鐘子が正直に独身だと打ち明けていれば、嘘に嘘を重ねる必要はなかったし、後ろめたい気持ちを抱くこともなかったはずだ。ただ、3年にも及ぶ真剣な婚活で結果を出せなかった鐘子が素直に恋をするには自信を失いすぎていた。歳下のイケメンを前に恋愛にガツガツした女だと思われたくないというプライドもあった。そして何より、ミステリアスで、先読みして居心地のよい空間を提供してくれる丈の優しさを手放したくないという気持ちが働いたのだ。

 第1話で鐘子が語ったように、婚活で出会う男性の多くは自分の話を素直に聞いてくれる若い女性を求めている。一人旅が趣味で、自分の都合で自由に行動することを好む鐘子が、興味ない男性の一方的な会話を楽しめるはずがない。

 丈は飛行機で最初に会ったときから鐘子に興味を示し、食事に誘い、ホテルまで送ってくれた。それだけではなく、自然のなりゆきで部屋にまで入ってきた。世界中を駆け巡るカメラマンとはいえ習熟している。鐘子が「人妻だから気軽に遊べる相手として自分を誘っているんだ」と思い込むのも無理はない。そのうえ、丈本人はいたってクールで、彼女の望まないことはしないというスタンスを崩さない。

 また、鐘子が「会いたい」とメッセージを送ると、「おいで」という大正解の返信。回を重ねるごとに女心のツボを確実に押さえた丈の愛情表現がSNSでも話題になった。繊細なのに、時に大胆。気持ちよくエスコートしてくれたかと思えば、少年のような笑顔を見せたりして、振り幅が大きい分、心も動いてしまうのだ。

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