『偽装不倫』は嘘と真実で紡がれた恋愛物語に 杏と宮沢氷魚が最終回で示した「本当の幸せ」
最後に鐘子は「これが、私が自分で決めた私にとっての本当の幸せ」と言い、丈との恋が自分で意思を持って選択したことだと表した。葉子と鐘子が抱えていた問題は、世間的な“幸せ”の形に収まっても必ずしも本人が幸福であるとは限らないということだった。葉子のように結婚や仕事がうまくいっていても愛情の部分で満たされていなかったり、鐘子のように年齢を理由に婚活を進めても気乗りする相手と出会えなかったりする。こういった問題を、姉妹は嘘や真実に翻弄されながら自分の心と向き合うことで乗り越えていく。そうして二人は、自身が納得する本当の幸せに辿り着くのであった。
嘘と本音に板挟みになり一人芝居の多かった鐘子だが、杏はコミカルに演じきった。シリアスなシーンだけではなく、視聴者がクスッと笑ってしまうようなシーンでも魅力を放っていた。抱えている問題が深刻な丈を演じた宮沢も、年齢以上の落ち着きで色香漂い、本作で見事ブレイクを果たした。年の差のある鐘子と丈だったが、宮沢の落ち着きと、杏のエネルギッシュさで違和感を感じさせないカップルであり、最後まで視聴者をヤキモキさせたが、無事結ばれたことで安堵した視聴者も多かっただろう。ハッピーエンドの作品だからこその後味の良さで、水曜日の夜を締めくくった。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■番組情報
『偽装不倫』
日本テレビ系にて毎週(水)22時〜放送
原作:東村アキコ
脚本:衛藤凛
演出:鈴木勇馬、南雲聖一
出演:杏、宮沢氷魚、瀬戸利樹、MEGUMI、谷原章介、仲間由紀恵ほか
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/gisouhurin/