『凪のお暇』号泣する高橋一生は愛おしい 一方で、自分の軸で幸せを選んだ凪に迫る“恐怖”も

『凪のお暇』号泣する高橋一生は愛おしい 一方で、自分の軸で幸せを選んだ凪に迫る“恐怖”も

 「ちゃんとしてるの?」

 金曜ドラマ『凪のお暇』(TBS系)第3話。人生をリセットするため、しばしお暇している凪(黒木華)の元に、帯広に住む母(片平なぎさ)からの便りが届く。引っ越し、スマホを解約し、連絡がつかない娘にハガキを出した母。そこには“土日に東京に伺います“の文字が。凪は慌てて携帯電話を契約し、現実を取り繕って来訪を阻止しようとするのだが、母の口から発せられた言葉に思わず絶句してしまう。それが冒頭のセリフだ。

 ちゃんとした髪型、ちゃんとした仕事、ちゃんとした住まい、ちゃんとした恋人……。何がちゃんとしていて、何がちゃんとしていないのか。そのボーダーラインは、母の中にある。自分とは異なる視点からの幸せの指標。もちろん自分と他者と、指標が一致すれば話は早い。親と子、同じ感覚で生きていられれば、先人のアドバイスは何よりも心強いだろう。だが、その指標が異なっていたら? この言葉は、彼女の人生を強く縛り付けることになる。

 自分が幸せの指標は、自分の中にある。文字にすると、ごくごく当たり前のように感じるが、多くの情報を前にすると簡単に揺らいでしまうのが、人間の厄介なところ。きっと、凪は幼いころから母の「ちゃんとして」パンチを浴び、サンドバッグ状態になっていたのだろう。空気を読んで、相手のパンチを受け続けることこそ、ちゃんとしているとさえ感じるほどに。

 今の凪は、家財道具やスマホと一緒に、自分を窮屈にしていた呪縛も捨ててみようと思ったのだ。母に「みっともない」と言われ続けたモジャモジャ頭こそが、解放の象徴。幸い、そのトレードマークを愛でてくれる人たちにも出会えた。少しずつ自分なりの軸を取り戻していると手応えを感じる日々。

 そうして育まれた自己肯定感が、婚活パーティーで再会した元同僚とも対峙するパワーになった。一方的なサンドバッグ状態の会話から脱し、負けじと思ったことを口にして拳を交わす。しかし、見事KOさせることに成功したものの、気分は晴れない。なぜなら「スペックで抱かれるなんて浅ましい」というストレートパンチが、ブーメランとなって自分に返ってきたからだ。自分こそ、恋人・我聞慎二(高橋一生)のことを、スペックでしか選んでいなかった、と。

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