『X-MEN:ダーク・フェニックス』は過去作と何が違う? アクションの変遷から辿る

『X-MEN』シリーズ、アクションの変遷

 その点、本作はこれまでのシリーズと大きく違う。まずクライマックスの舞台は疾走する列車の中である。この『ファイナルファイト』みたいなスケール感がまず珍しい。地球が割れるような戦いが当然のアメコミ映画で、このコンパクトさは一周回って新しい。おまけに敵が「地球人そっくりに変身した宇宙人」という設定なので、パッと見は普通の人間だ。よって画だけ見ると「X-MENの特殊能力が普通の人間に向けて全力でブツけられる」という、今までのシリーズでも珍しい画になっている(法律の抜け穴を突くようなやり方だ)。それはそれで問題もある気がするが、対人戦に特化して、新しいアクションを見せている点は評価したい。

 そんなわけで色々と疑問が残る部分はあったが、最後のアクションに乗れてしまったので、なんとなく良かったかなと思える1本だった。シリーズの集大成と胸を張れないのが少し残念だが、なんだかんだで20年近く付き合ったシリーズである。今は終わったことを噛みしめたい。ただ、遂に最後までオメガレッドがアニメのオープニングみたいにウルヴァリンと戦ってくれなかったのは残念だが……。ずっと待ってたんですよ。20年。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■公開情報
『X-MEN:ダーク・フェニックス』
全国公開中
出演:ソフィー・ターナー、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ジェシカ・チャステイン
監督:サイモン・キンバーグ
配給:20世紀フォックス映画
(c)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/darkphoenix/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる