『なつぞら』板橋駿谷、『まんぷく』安藤サクラ……朝ドラ俳優たちが見せる“若返り演技"の魅力

朝ドラ俳優たちが見せる"若返り演技"の魅力

 一方で、フレッシュさとは逆にパブリックイメージを生かした事例もある。

 『ちりとてちん』(NHK総合)で主人公の叔父・小次郎を演じた京本政樹。年齢不詳の貴公子的なイメージをうまく利用し、劇中の回想シーンで実年齢より30歳以上若い高校生を違和感なく演じていた。

 また、2月に公開されサプライズヒットを起こした映画『翔んで埼玉』でGACKTが演じたのは、埼玉解放戦線所属の転校生・麻実麗。その実年齢差はなんと27歳! オファー当初は「即答で断った」というが、ふたを開けてみれば、アメリカ帰りで長身・長髪のミステリアスな高校生というキャラクターがGACKT自身のアーティスト像と完璧にマッチ。ファンタジックな作品設定をいっそう強固にする神キャスティングとなった。ちなみに『翔んで埼玉』には、伝説の埼玉県民役で京本政樹も出演しており、GACKTとの異次元の共演にも注目だ。

 若返り演技とひとくちに言ってもその取り組み方は俳優によってさまざまだ。年齢のギャップや役者の個性を前面に押し出した演技が予想外の効果を生むこともしばしばである。ファンにとって若返り演技は、ふだんと違う俳優の姿を見ることができる貴重な機会でもある。

 『なつぞら』に続く朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)では、戸田恵梨香が主人公の中学生時代を演じることが報じられている。新たに登場するキャラクターたちと、どんな若返り演技を見せてくれるのか、こちらも楽しみだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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