『パーフェクトワールド』瀬戸康史&中村ゆりの登場で、物語は四角関係に ドラマならではの脚色も

『パーフェクトワールド』恋の四角関係

 “諦め”と“犠牲”。事故に遭って以来、恋愛を一生しないと決めていた樹(松坂桃李)の心を動かし、想いを成就させたつぐみ(山本美月)。先週の改元に伴う放送休止をはさみ、7日に放送された火曜ドラマ『パーフェクトワールド』(カンテレ・フジテレビ系)の第3話は、このドラマのもうひとつのスタートラインに立つエピソードであったといえよう。つぐみと樹の交際に立ちはだかる、つぐみの父・元久(松重豊)の反対。そして是枝(瀬戸康史)と長沢(中村ゆり)という、それぞれのライバルの存在の大きさがしっかりと描写されていく。

 原作では元久の存在こそが物語を左右させる役割を果たしているだけに、おそらくドラマでも同様の展開が待ち受けているのであろう。今回のエピソードだけではまだ元久の病気について軽く触れられるだけにとどまり、娘への想いがはっきりと語られないものの、さすがは松重豊が演じているだけあって、些細な表情ひとつで何かを隠している素ぶりをみせてくれる。もっとも、樹が子供のボールを取ろうとして転倒するシーンや、足の指をぶつけるシーンなど、つぐみが樹と一緒にいることで自身に大きな責任が伴うことを感じる要素がひとつひとつ丁寧に原作から汲み取られている中でも、ドラマならではの改変や脚色がそこかしこに見受けられる。

 そのひとつが、つぐみの妹・しおり(岡崎紗絵)という原作にはいないドラマのオリジナルキャラクターであろう。父親が娘を溺愛するという、いたってシンプルな家族ドラマとしての要素をより強化するためにつぐみと対比になるしおり。同時に、障がい者との恋愛という部分においてもまったく異なる考え方を持つ人物として描かれている。“レンタル彼女”のバイトとして、晴人(松村北斗)と出会うくだりで、彼が義足であることを知った時のあからさまな表情。原作で晴人の幼なじみ兼恋人として登場していた舞花を土台にしたキャラクターのようにも思えるが、つぐみの葛藤をより浮き彫りにさせる点で舞花と共通していながらも、真逆のアプローチであるといえるだろう。

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