高橋一生、歌手として見せるのは情熱な一面? エレカシ宮本浩次提供『東京独身男子』主題歌を考察

高橋一生、歌手として見せるのは情熱な一面?

 宮本浩次はシンガー・高橋一生を「竹を割ったような性格の大変男らしい」、「全力の人」と評している(引用:番組オフィシャルサイト)。「俺たちの明日」で本家・エレカシにも劣らない力強い熱唱を聴かせていたように、あえて技巧に走らない、ストレートな思いきりのよさがシンガー・高橋一生の身上だ。

 「きみに会いたい-Dance with you-」でも大人の色気を醸し出しながらフルスウィングなスタイルを貫いている。バックで支えるのは屋敷豪太(Dr)、根岸孝旨(Ba)、名越由貴夫(Gt)など名うてのミュージシャンたち。演技では良い意味で色を出さない高橋一生が、歌ではエモーショナルに自分のカラーを打ち出しているのが興味深い。自在に役柄を演じ分ける男が“素”の自分をさらけ出せるのが音楽なのかもしれない。

 高橋自身の音楽性について言えば、前述のエレファントカシマシのほか、THE BOOMの「からたち野道」をテレビ番組で披露するなど、オーセンティックで懐の深いメロディに魅かれる傾向が見て取れる。

 ブルースハープという、年齢の割に“渋い”特技も地に足のついた一面を感じさせる。そういえば、東京都出身の高橋一生は、地図好きタレントとしてテレビ番組『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)にも何度か出演している。クールな塩顔男子の陰には、古き良きものをいつくしむ素顔が隠れているのだ。

 「きみに会いたい-Dance with you-」のレコーディングをふり返って、高橋は「多くの方達が関わって皆さんがそれぞれの分野で力を尽くして共に作品を作っていることを感じました。そこは僕がいつもお仕事をさせて頂いている現場の情熱と変わらないと思いました」と語っている(引用:番組オフィシャルサイト)。俳優としての姿勢とシンガーとしてのスタンスには共通する部分も多いが、“料理とギターが得意な38歳”という等身大のキャラクターを演じる『東京独身男子』で、両者はかつてないほど接近している。

 『東京独身男子』第1話で高橋が演じる石橋太郎は「こんな痛い思いをするくらいなら、次につきあう人と結婚する。それがダメなら一生結婚しない」と宣言する。余裕の独身ライフを送っていた主人公が、とあるきっかけから結婚に本気になる心境は、主題歌の行間に滲み出る高橋自身の素顔からもそう遠くはないだろう。

 長い下積みを経て俳優としての充実期を過ごしている高橋一生。歌手デビューを機に本来の持ち味が発揮される機会が増えそうだ。

■石河コウヘイ
東京都出身のエンタメ系ライター。年間ドラマ視聴数は50作品以上。三度のメシとエンタメが好き。

■放送情報
土曜ナイトドラマ『東京独身男子』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~0:05放送
出演:高橋一生、斎藤工、滝藤賢一、仲里依紗、高橋メアリージュン、桜井ユキほか
脚本:金子ありさ
音楽:河野伸
演出:樹下直美、タナダユキほか
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式Twitter:https://twitter.com/AKDanshi
公式Instagram:https://www.instagram.com/akdanshi/

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