『相棒』卒業後も存在感を示す愛すべきキャラクターたち 長期シリーズ人気の秘訣を探る
この作品がマンネリ化することなく続いているのは、それぞれに個性の違う相棒たちが登場してきたという点も大きい。現在の相棒である冠城は飄々としたお調子者で、その本心が見えづらく一筋縄ではいかない人物。これまでの誰とも違うスタンスで右京と接する冠城のおかげで、右京の新たな面が見えてきたりもして、物語がより豊かに膨らみを持つことができている。
そしてかつての相棒たちの中で、神戸は警察庁へ異動した後も右京からの要請で事件解決に力を貸すなど、歴代相棒の中で唯一、相棒でなくなっても姿を現しているが、異国へ行ってしまった亀山と、懲戒免職という衝撃的な展開で相棒を卒業した享は、今のところ回想以外で実際に本人が登場することはない。しかし右京たちの会話の中で、明確に名前は出さないものの、明らかに彼らのことを示唆する内容が出てくることがあり、彼らが作品世界の中で生き続けていることがうかがえる。
このように、『相棒』シリーズの人気の秘訣は、魅力的なキャラが登場するのみならず、大切に扱っているところだと言えよう。たとえ現在は登場していない過去のキャラであっても、物語を彩ってきた様々な登場人物たちのことを、使い捨てのようなぞんざいな扱い方はしない。彼らがいるから今がある、という尊重する思いが伝わってくるからこそ、相棒ファンはこのドラマを、そして登場人物たちをより深く愛することができるのだ。
season17の最終回には、警視庁広報課課長である社(仲間由紀恵)、警視庁副総監・衣笠(杉本哲太)、三代目相棒・享の父である甲斐峯秋(石坂浩二)など、特命係と因縁の深い人々が次々と登場する。どのような展開を見せるのか、各キャラにも注目しながら見て欲しい。
■久田絢子
新聞ライター兼編集(舞台担当)→俳優マネージャー→劇場広報→伝統芸能(主に能楽)関連お手伝い、と舞台業界を渡り歩き現在フリーライター。ウェブ「エンタメ特化型情報メディアSPICE」「goo映画」等で舞台や映画等エンタメ関連記事を執筆中。
■放送情報
『相棒 season17』最終回2時間スペシャル #20
2019年3月20日(水)20時00分~22時09分放送
出演者:水谷豊、反町隆史、
川原和久、山中崇史、山西惇、浅利陽介、田中隆三、芦名星、小野了、片桐竜次
仲間由紀恵、杉本哲太、石坂浩二
ゲスト:中原丈雄、渕野右登、小木茂光、大浦龍宇一、八木優希
脚本:金井寛
監督:内片輝
音楽:池頼広
(c)テレビ朝日
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