坂口健太郎と藤木直人の強い絆 『イノセンス~冤罪弁護士~』が問いかける弁護士としての“正義”

『イノセンス』坂口健太郎と藤木直人の絆

 「本当のことを知りたいという動機で成り立つ弁護活動はない」。これは黒川真(草刈正雄)から拓に向けられた真理をついた発言だ。拓のブレない信念は、嘘か真実かに関わらず、ただ要望に沿って弁護をしてほしいと望む依頼人にとっては余計なお世話であり、弁護士という仕事の職分には反している。それでも、拓たちがこれまでに積み重ねてきた冤罪弁護には“正しさ”が必ず存在していたし、事実が明らかになることでたとえ苦しい現実が待ち受けていても、そうすることで依頼人が救われると拓は信じている。そしてこれは、納得のいく事実が明らかにならず、自殺していった幼馴染を冤罪だと信じ続けた拓の“救われなさ”に起因することでもある。

 過去の事件と現在の弁護が交差するなかで明らかになる秋保と拓の確かなつながり。事件における立場は違いながらも、ふたりは救われない感情を共有している。そうした彼らの関係にはじまり、方向性が見えなくなった拓に道筋を作った楓とのバディらしいやりとりや、湯布院とその相棒であった別府所長の兄との間で固く結ばれていた絆、そして刑事弁護を毛嫌いしていた法務弁護チームが、徐々に拓を温かく見守りだし、事務所内が愛らしい空気で満たされていることなど、登場人物たちの“連帯感”が『イノセンス』という物語の軸になってきている。彼らの強い絆が、救われなかった依頼者の心に寄り添うことになり、やがて彼ら自身の苦しみにも寄り添うことになってくれるのだろうと、そう願わずにはいられない。

■原航平
編集/ライター。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇など、とにかく物語と役者に興味津々。大学時代の卒業論文の題材は「疑似家族を描く日本映画について」。
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■公開情報
土曜ドラマ『イノセンス~冤罪弁護士~』
日本テレビ系にて、2019年1月19日(土)スタート(初回15分拡大スペシャル)
出演:坂口健太郎、川口春奈、藤木直人、趣里、杉本哲太、市川実日子、志賀廣太郎、小市慢太郎、正名僕蔵、赤楚衛二、草刈正雄
脚本:古家和尚
音楽:UTAMARO Movement
音楽プロデュース:岩代太郎
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:荻野哲弘、尾上貴洋、本多繁勝(AXON)
演出:南雲聖一、丸谷俊平
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/innocence/

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