『まんぷく』長谷川博己と安藤サクラの二人三脚の歩み タイトルに繋がるラーメンの誕生
お湯を掛けて、数分待てば出来上がるラーメン。それは今やコンビニでもスーパーでも手に入れることができるが、その発明の舞台裏を初めて垣間見た方々も多かったのではないだろうか。
今週の『まんぷく』(NHK総合)では、念願の即席ラーメンがついに完成した。その名も、「まんぷくラーメン」。源(二宮輝生)が指摘していたが、「まんぷく」という言葉には萬平(長谷川博己)と福子(安藤サクラ)の2人の名前の一部が含まれているようにも見える。まさしく、夫婦二人三脚の結晶にふさわしい名称と言えよう。
ただ、これまでの放送で描かれてきたように、即席ラーメン作りは平たんな道のりではなかった。スープと麺をただ作るだけではなく、それらをどのように保存可能な形にし、いかにしてそれを手軽に食べられるようにするか? “革命的”な挑戦はそう簡単にできるものではなかったのだ。一つ試しては、失敗し、また違うやり方を試みるも、それもまた満足できるものにはならない。開発とはひたすらこうした作業の繰り返しなのである。「まんぷくラーメン」の包装の絵柄を担当することになった忠彦(要潤)は、完成デザインにカラフルな荒波を描いていた。忠彦曰く、荒波は福子たちがこれまでに遭遇してきた困難。でもその荒波を色鮮やかに描いたのは、いかにも彼らしい発想である。
誕生したばかりのタカ(岸井ゆきの)の子どもを皆が取り囲む中で、「新しい生命の誕生」と呟いた忠彦。どうやらそれが「まんぷくラーメン」の誕生と重なったかのようだった。実際、忠彦の頭の中で“生命”と“ラーメン”がどう関連したのかは、本人にしか分からないが、今になって考えてみれば何となく分かる気もする。完成した「まんぷくラーメン」を近しい間柄の人々に試食してもらい、全員が「美味しい」「うまい」と認めてくれた時、皆が万歳をして祝福した。その時の香田家とパーラー白薔薇の光景は、まるで“新たな家族”が誕生したかのような多幸感で溢れかえっていた。萬平に至っては、香田家の庭に飛び出して、ひっくり返りながらその完成を喜んだのだ。