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「映画館の未来」はどう変わる?  アップリンク吉祥寺の未来すぎる上映プログラム(後編)

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 東京は立川にある独立系シネコン、【極上爆音上映】等で知られる“シネマシティ”の企画担当遠山がシネコンの仕事を紹介したり、映画館の未来を提案するこのコラム、第36回は「アップリンク吉祥寺の未来すぎる上映プログラム」についての後編。

 ミニシアターにして5つものスクリーンを持ち、「ポートフォリオ編成理論」なる考え方で、5スクリーン×日に5回上映で最大1日に25本もの映画を上映しようという他に類例をみない先鋭的映画館、アップリンク吉祥寺のこの上映プログラムについてさらに深掘りしていきます。

デジタル化で変化したアップリンクの上映

 まずは深く突っ込んでいく前に、アップリンク渋谷/吉祥寺の上映作品について基本的なデータを押さえておきましょう。

 まずアップリンクの上映作品は、公開されたての新作ではないけれど、名画座よりはちょっと早い、くらいのタイミングの中小公開規模の作品の割合がメインです。これまでに蓄積された配給会社との関係性と成果があるのはもちろん、新作じゃないから1日1回上映が許されるんですね。

 『スター・ウォーズ』とかアメコミヒーローものとか、『ワイルド・スピード』とか『マスカレード・ホテル』のような超大作はないですが、『ラ・ラ・ランド』『この世界の片隅に』『ムーンライト』『万引き家族』などは入ってくる感じです。もちろん『バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋』や『カメラを止めるな!』のような小さい公開規模の作品はばっちり。

 アップリンクは自社で配給もやっているので、全国同時公開の新作も入ってきます。奇想の天才ホドロフスキー監督の傑作『エンドレス・ポエトリー』、偉大なるデビッド・リンチ監督のドキュメンタリー『デヴィッド・リンチ:アートライフ』は同時公開されました。

 自社配給作品だけでなく、他にも執筆現在なら『天才作家の妻 40年目の真実』『山<モンテ>』等は新作で、これらは1日に複数回上映されます。

 まとめると、1日1回上映の「ポートフォリオ編成」が適用されるのは旧作で、新作は通常の映画館のように複数回上映になり、それらが混合しているということです。この混合が面白く、また同時にアップリンクという映画館がどういう映画館であるかをわかりづらくしています。

 実は僕が不勉強ということもあるのですが、このような上映プログラムをしているとは今回の取材まで知りませんでした。もちろんここ数年、何度も渋谷館には足を運んでいますし、公式サイトも見ていましたが、いわゆる名画座的な旧作上映をデフォルトで行っているということは気づきませんでした。

「こういうプログラムにしたのは、渋谷を3スクリーン体制にしたときからだね」(アップリンク代表・浅井隆)

 つまりこれは上映のデジタル化に合わせて行われた変更のようです(元々アップリンク渋谷に35mm映写機はありませんでしたが)。かつてのアップリンクといえば、僕の中ではポレポレ東中野と双璧をなす、コアな映画ファンの神殿というイメージでした。アート性の強い作品やマニアックなドキュメンタリーを上映する劇場というイメージです。

 念のためシネマシティ社員で僕よりも映画マニアの2人にも聞いてみたところ、その印象が強いせいだと思うのですが、やはりこの変更については知りませんでした。渋谷館の3スクリーンだと1本新作があるだけでも、名画座感はかなり薄れるということもあるかと思います。

      

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