“不朽の名作”の続編の出来は? 原作の精神を守り抜いた『メリー・ポピンズ リターンズ』の価値

 ペンギンがダンスするなど、観客を楽しませるため原作とは異なる描写が『メリー・ポピンズ』には少なくない。しかし、最も大事な部分はしっかりと描ききっている。だからこそ、凧をあげるラストシーンに心が打ち震えるのだ。

 本作もまた、原作の雰囲気とは異なるところが多いかもしれない。そしてアニメのペンギンも元気に踊っている。なぜなら本作はディズニー版『メリー・ポピンズ』の続編なのだから。しかし、ベン・ウィショー演じるマイケルが、妻を亡くしたことで生きる希望を失っていたことを描き、子どもたちが「ママは消えたわけじゃない。ただここにいないだけ」と励ますシーンを入れたことで、父親の心を救うという場面がしっかりと用意されている。トラバースが望んだ最も大事な部分は、ここでも全うされているのである。

 ユーモアの重要さや偏見をなくすこと、人の心を大事にする精神は、現代にも、そしてこの先も通用する普遍的な考え方だ。その精神を守り抜いた本作は、ディズニーの『メリー・ポピンズ』同様に、多くの子どもたちに観てほしい重要なメッセージを持つ映画になった。そして同時に、大人たちをも救う映画になっている。それさえしっかりと描けているのなら、『メリー・ポピンズ』は、いつの時代も、何度でも作り続ける価値がある題材であるはずだ。

■小野寺系(k.onodera)
映画評論家。映画仙人を目指し、作品に合わせ様々な角度から深く映画を語る。やくざ映画上映館にひとり置き去りにされた幼少時代を持つ。Twitter映画批評サイト

■公開情報
『メリー・ポピンズ リターンズ』
全国公開中
監督:ロブ・マーシャル
キャスト:エミリー・ブラント、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、コリン・ファース、メリル・ストリープほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2018 Disney Enterprises Inc.
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/marypoppins-returns.html

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