『まんぷく』後半戦は安藤サクラの“覚醒”に期待? 6つのポイントをおさらい

『まんぷく』6つのポイントをおさらい

三度の逮捕という予想外の展開!

 そんな「たちばな栄養食品」の解散とも関係する話だが、視聴者が何よりも驚いたのは、萬平が実に三度にもわたって身柄を拘束されるという、衝撃の展開だったのではないだろうか。“敗者復活戦”を繰り返す物語だとは聞いていたけれど、事業の失敗ではなく、半ば言いがかりに近い形での突然の逮捕、しかも3回目の逮捕では、萬平自身が服役するに至るとは、はっきり言って予想外だった。

 「理創工作社」時代、軍需物資横領の容疑で憲兵に逮捕されたのを皮切りに、「たちばな塩業」時代には、武器隠匿の容疑で「塩軍団」の若者たちもろとも、今度は進駐軍に逮捕。その後、社名を「たちばな栄養食品」と改め事業を「ダネイホン」の製造販売に一本化し東京進出も果たすも、今度は脱税の容疑で、またしても進駐軍に逮捕。軍事裁判にかけられ、重労働四年、罰金七万円の判決を受けてしまうのだ。その後、弁護士・東太一(菅田将暉)の提案もあって、東京の子会社を売却、果ては「ダネイホン」の商標と製造方法も売却し、「たちばな栄養食品」の解散を余儀なくされる萬平福子は、再びいちからやり直しという状況で、年を超えることになってしまった。

物語は、またしても意外な方向に?

 さて、年明け1月4日から再スタートする『まんぷく』。ようやく釈放されたはいいものの、これまでやってきた事業をすべて失ってしまった萬平福子夫婦は、今度はいったい何の事業を始めるのだろうか。1月7日から始まる第15週からは、さらに8年の月日が流れ、新キャストともども新たな展開を迎えることが発表されている。そして、インスタントラーメンは、いつどのようにして生み出されるのだろうか。

 さらに翻って、やはり注目したいのは、主人公・福子の今後の立ち居振る舞いである。無論これまでも、拘置所での面会シーンをはじめ、「安藤サクラでなければ、きっと成立していなかっただろう」と思われる印象的なシーンはいくつかあった。

 しかし、「究極のマネジメント能力を持った女性」という、本作の根幹に関わる部分での説得力は、やや弱いような気がしてならない。萬平の妻として、いわゆる「内助の功」と言われる以上の存在感は示しているものの、物事を最終的に決断し動かしているのは、あくまでも萬平であって、萬平の拘留期間を除けば、福子が何かを決断する機会は、まだほとんどない。

 もともとあまり資料がなく、かなり自由度が高いと言われているこのヒロインを、脚本家・福田靖は、今後どのように描き出していくのだろうか。そして、それは現代の女性像と、どこまでリンクするものとなるのだろうか。さらには、ようやく実年齢と近づきつつある物語の中で、女優・安藤サクラが本格的に覚醒する瞬間は、果たしてどのタイミングで訪れるのだろうか。そちらも合わせて、後半戦を楽しみにしたい。

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「リアルサウンド」「smart」「サイゾー」「AERA」「CINRA.NET」ほかで、映画、音楽、その他に関するインタビュー/コラム/対談記事を執筆。Twtter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、瀬戸康史、中尾明慶、橋爪功、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる