萬平(長谷川博己)は3度目の拘束にどう立ち向かうのか 『まんぷく』終戦後も“戦い”は続く

『まんぷく』萬平、3度目の拘束にどう立ち向かう?

 英文の判決文、しかも難解な言葉であふれたその内容を読み込んだといい、見るからに頭の切れる弁護士である。東京帝国大学の法科を首席で卒業したというその弁護士は、福子(安藤サクラ)たちに降りかかる問題に対して、次々と現実的な対処策を提案してきた。

 菅田将暉演じる弁護士・東太一は、『まんぷく』(NHK総合)の新たな登場人物の1人である。少し人見知りではあるものの、福子や萬平(長谷川博己)たちの力になりたいという気持ちはとにかく強い。死にかけていた妹はダネイホンで救われたというから、その気持ちはひとしおなのだろう。

 そんな東にとっても特別な思いがある栄養食品の開発は、栄養失調の人々を目の当たりにしたことにさかのぼる。第45話で、「戦争はまだ終わっていないんだ」と萬平は言った。ダネイホンのおかげで、1人、また1人と戦争で抱えた苦しみから解放されていったのだ。

 ところが皮肉なことにと言うべきか、萬平たちにとっては栄養失調とは違った意味での“戦い”が続いているのだ。萬平は本作の中で、憲兵に1度、進駐軍によって2度身柄を抑えられている。戦争も終わり、あとは何事もなく“人の役に立つ”人生が開けているのかと思いきや、そうはいかなかったのだ。萬平たちを阻む“戦い”とは何度も隣り合わせ。『まんぷく』では朝ドラ特有の和やかで温かみのあるシーンももちろんあるだけに、あの不穏なBGMが流れたときには、いつも胸をざわつかせるものだ。

 こう考えると確かに、福子や萬平たちの道のりはとてつもなく険しいものに見えるかもしれない。ただ、『まんぷく』ではそれと同時に“希望”の存在をほのめかすシーンがちゃんとある。今週の場合、その“希望”の提示の役割を担った1人は、まさしく東である。東は“希望”に関する台詞を随所で口にしてきた。

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