年末企画:児玉美月の「2018年 年間ベスト映画TOP10」 女性映画の勢いが止まらない

児玉美月の「2018年映画TOP10」

 今年は過半数の作品が女性映画となったが、女性映画が男性映画の興行成績を上回っているという調査が出たことからも明らかなように、女性映画の勢いが止まらない。2017年に一気に広まった「#MeToo」に続き、今年のはじめには「Time's Up」が起き、『万引き家族』がパルムドールを受賞したカンヌ国際映画祭では、女優たちが集まってジェンダー格差について是正を呼びかけた。『オーシャンズ8』はまさに昨今のそんな潮流を体現したような映画で、女性による女性のためのエンパワメント映画。来年は女性のスーパーヒーロー映画『キャプテン・マーベル』などの公開が控えるが、この『オーシャンズ』シリーズや『ゴーストバスターズ』シリーズを例として、男性のもの/男性だけの世界と見做されていたジャンルでも、女性によるリブート映画が今後も続々と製作されていってほしい。

 本年度最後の締めくくりとして観た『ROMA/ローマ』はNetflixオリジナル作品だが、劇場公開を前提としない映画であっても、これだけの映画体験を観客に与えられるものかと衝撃でさえあった。

 そして願わくは、2019年もまた素晴らしい映画周遊ができることを。この年に出逢った、たくさんの亡霊たちを引き連れて。

TOP10で取り上げた作品のレビュー

音楽がストーリーそのものに 『グレイテスト・ショーマン』の幸福な音楽の全能感
幻惑的な鏡の使い方が意味するものとは? 『ナチュラルウーマン』が描く、世界に存在する現実
“内”にではなく“外”に開かれた希望ーー『空気人形』に通ずる『万引き家族』の空虚や孤独の可能性
他のトランスジェンダー映画と一線を画す? 『アバウト・レイ 16歳の決断』が描く“心の交流”

■児玉美月
大学院ではトランスジェンダー映画についての修士論文を執筆。
好きな監督はグザヴィエ・ドラン、ペドロ・アルモドバル、フランソワ・オゾンなど。Twitter

■公開情報
『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』
公開中
監督:デヴィッド・ロウリー
出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ
配給:パルコ
(c)2017 Scared Sheetless, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.ags-movie.jp/

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