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『ボヘミアン・ラプソディ』『BPM』『ナチュラルウーマン』……様々なLGBTQの姿描いた2018年の映画

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 LGBTQないしはセクシュアル・マイノリティを描いた映画を振り返るといっても、現在じつに多くの作品が題材にしており、一概に傾向をまとめることは難しい。そういう意味では、もし現代をダイバーシティ推進が一般化した時代であるとして、その多様化自体がひとつの回答であり潮流だと言えるだろう。わたしたちは2018年、本当に様々なLGBTQの姿を映画のなかで観ることができた。

 そのなかでもっともヒットしたものといえば、クイーン、そしてフレディ・マーキュリーを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』ということになるだろうか。映画はバンド史を紐解きながら、フレディのセクシュアリティやHIV感染にもきちんと触れる。もう少し時代が前であれば、そこに踏み込むこと自体が難しかっただろうから、これも現代らしい事象と捉えられるかもしれない。しかしながら、同作が彼のゲイとしての側面やHIVに関して深く描いているとは正直に言って思えない部分もある。もっとも多く指摘されるのは、映画のハイライトとなる『ライヴ・エイド』より以前には、実際にはフレディがエイズを発症していなかったという点だろう。「脚色も交えた伝記作品」というのは映画として間違ったものではないし、とくにこうした娯楽大作では当然のことかもしれない。だが、HIV/エイズが本当に「死に至る病」であったあの時代を描くのに、エイズ発症をバンドメンバーに告げることで絆が深まった……という「フィクション」を、軽々しくプロットに組みこんでいいものだろうかという疑問は大いに残る。ゲイ・コミュニティを絶望の淵に追いやったあの病が、いま、大団円に至るための通過点として軽く使われてしまうことの問題は看過されてほしくない。また、フリー・セックスのような70年代のゲイを大いに解放した価値観を、現代のモノガミー的視点(一対一の恋愛により価値を置いて考えている)から一面的な描き方をしていることにも違和感を覚える。

『ボヘミアン・ラプソディ』(c)2018 Twentieth Century Fox

 HIV/エイズをモチーフにした映画はある時期よく発表されていたが、近年また増えているように思える。『ダラス・バイヤーズクラブ』や『恋するリベラーチェ』、あるいは『パレードへようこそ』といった映画が示すのは、あの凄惨な過去の続きに現在がある、ということだ。現在HIVは正しく薬を服用していればエイズを発症しないばかりではなく、感染すらしないところまで対策が進んでいる。本当に「死に至る病」ではなくなっているのである。だがいっぽうで、ゲイ・コミュニティの若い世代の間ではHIVに対する危機感が薄れ、また、権利を勝ち取るための先人たちの闘いが忘れられつつあるという。

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