『ママレード・ボーイ』『honey』……恋に盲目な男女が輝く“キラキラ映画”が今年は豊作!

『ママレード・ボーイ』『honey』……恋に盲目な男女が輝く“キラキラ映画”が今年は豊作!

『ママレード・ボーイ』

 奔放な両親の思惑により、同じ屋根の下で生活することになった男女の恋愛を描いた『ママレード・ボーイ』は、“恋=キラキラ(個人主義)”がはじまる瞬間を明確に捉えていた。両親がそれぞれのパートナーを取り替えて再婚し、同じ家で生活するという突拍子もない設定に、「もしかすると二人は兄妹かもしれない……」という驚天動地の展開までもが導入され、あまりに複雑な環境下に放り込まれた多感な年頃の2人のことは、不憫だと言わざるを得ない。互いに意識しあいながらも距離を取らなければならないその状況は、まさに不条理そのものである。しかし、吉沢亮が演じる生真面目すぎる少年が口にした、「常識だってモラルだって、ミキ(ヒロイン=桜井日奈子)のためなら破ってやる」という決意のセリフは、社会が生み出す不条理に立ち向かおうとする私たちを鼓舞するものにも思えた。

『青夏 きみに恋した30日』

 『青夏 きみに恋した30日』は、夢見がちなヒロインが初めての恋心をおぼえ、その想いに素直になることの大切さを、主演の葵わかなが猪突猛進する走りによって体現してみせた。あと先のことを考えて思い悩むよりも、自身の欲求に向こう見ずな態度で突き進んでいく姿はなにものにも代え難く、観ていて清々しいほどである。そこから発される「何か」こそ、“キラキラ”の正体ではないかと思えるのだ。映画が終わり、劇場を一歩外へ出れば、そこには私たちの日常が待っている。誰もが日常生活を送るうえで感じる社会からの抑圧は、年齢を重ねていくほどに肥大化していくだろう。ときに慎み深さや譲り合いの精神は大切かもしれないが、ときにまた、それを否定していく態度も必要だと感じるのである。

 ただのマンガ実写化にとどまらず、彼女(あるいは彼)たちは意外にも多くのことを教えてくれる。その姿は、ときに滑稽に映るかも知れない。しかし、旧来の日本人の美徳とされてきた「わび・さび」や、奥ゆかしさとは異なった、新たな価値観・魅力を発見することができるのではないだろうか。

 2019年は、「壁ドン」ブームの火付け役となった『L・DK』(2014)を再映画化した『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』や、『溺れるナイフ』(2016)を手がけた山戸結希監督の最新作『ホットギミック』などの公開待機作がある。また新たな価値観を、そこに見出すことができそうだ。

※『L・DK』の「・」はハートマークが正式表記

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■販売情報
『ママレード・ボーイ』
発売中
【初回仕様】ブルーレイ プレミアム・エディション(2枚組):¥5,990+税
【初回仕様】DVD プレミアム・エディション(2枚組):¥4,990+税
DVD(本編ディスク1枚):¥3,990+税 
発売・販売元:ワーナー・ブラザースホームエンターテイメント
(c) 吉住渉/集英社 (c) 2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/marmaladeboy/

出演:桜井日奈子、吉沢亮、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)、優希美青、筒井道隆、谷原章介、檀れい、中山美穂
原作:吉住渉「ママレード・ボーイ」(集英社文庫〈コミック版〉)
監督:廣木隆一
脚本:浅野妙子、廣木隆一
音楽:世武 裕子
主題歌:GReeeeN「恋」(ユニバーサル ミュージック)

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる