加速する『ボヘミアン・ラプソディ』現象 公開5週目にして3週目『ファンタビ』をまさかの逆転!?

加速する『ボヘミアン・ラプソディ』現象

 本コラムでマーベル作品や『ミッション:インポッシブル』シリーズを取り上げた時にも触れたが、今や韓国におけるハリウッド映画マーケットは作品によっては日本の数倍規模。その背景には、大型シネコンがほとんどすべてのスクリーンで人気作品を上映するという「選択と集中」を徹底させている(日本の興行界のように様々なしがらみがないということも大きい)こともあるのだが、それに加えて現在の韓国では各企業のテレビコマーシャルなどでクイーンの楽曲が使用されていることなども拍車をかけて(来年以降、きっと日本でも同じことになりそうな気がする)、日本の「ボヘミアン・ラプソディ現象」以上のクイーン・ブームが世代を超えて巻き起こっているのだという。

 そこで興味深かったのはスポーツソウルのこの記事だ。韓国の地上波局MBSで、先週日曜日(12月2日)の夜に『地上最大のコンサート、ライブエイド』と題して、『ボヘミアン・ラプソディ』のクライマックス・シーンを飾ったあのライブエイドでのクイーンのステージを含む、ライブエイドの当時の実況映像が画質補正なども施された上で3時間にわたって放送されて、それも大きな話題になっているのだという。『ボヘミアン・ラプソディ』を観た誰もが、「あのクイーンのステージの本物の映像を見てみたい!」(当時のリアルタイマーにとっては「もう一度見たい!」)と思ったはず。既にリピーターも続出している同作だが、実際の映像を見た後にもう一度スクリーンであのステージを観たら、きっとさらに感動が増すに違いない。韓国の地上波局にできるのなら、日本の地上波局にもできるのではないかと期待したい。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」ほかで批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)、2018年11月28日発売。Twitter

■公開情報
『ボヘミアン・ラプソディ』
全国公開中
監督:ブライアン・シンガー
製作:グレアム・キング、ジム・ビーチ
音楽総指揮:ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー
出演:ラミ・マレック、ジョセフ・マッゼロ、ベン・ハーディ、グウィリム・リー、ルーシー・ボイントン、マイク・マイヤーズ、アレン・リーチ
配給:20世紀フォックス映画
(c)2018 Twentieth Century Fox
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

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