『真っ赤な星』桜井ユキ×井樫彩監督対談 「私の中から生まれてくるものを出し切った」

『真っ赤な星』桜井ユキ×井樫監督対談

井樫「私の中から生まれてくるものを出し切った」

ーー桜井さんは、小松さんとのやり取りはいかがでしたか?

桜井:小松ちゃんがどうこうというより、正直、結構悲惨なスタートでしたね。悲惨でしたよね?

井樫:悲惨だった。

桜井:小松ちゃんは見た目の素朴さよりも大人っぽい子なんですが、陽にはそうあって欲しくなくて。弥生もそうですけど、陽はとても難しい役なんです。私と小松ちゃんの関係性も含めて。映画を作っていく上で、私に感情を抱いてもらわなければいけないし、最初は「え、これ大丈夫かな......」みたいな空気が漂ってましたね。

井樫:「これはどうしたら......」みたいな(笑)。

桜井:監督からも私からも小松ちゃんに色々話したので、本人も知っていることですが、だいぶ雲行きの怪しいスタートだったと思います。

ーー一番大変だった撮影のシーンは?

井樫:結局、一番大変だったのは初日かもしれない。

桜井:そうですね。

井樫:初日が病院の冒頭のシーンだったのですが、カット割りも複雑だったんです。感情の部分に関しても、小松さんが陽という役に入り込めていなくて。陽ちゃんの言葉を受けて、弥生が泣くシーンで、現場は「どうしよう......」みたいな。あのシーンは結構桜井さんが無理した場面ですね。

桜井:2人のシーンの初日で、お互い役を掴みきれていない中での撮影でもあったし、すごく繊細なシーンでズレが許されなかったので、確かに難しくはあったんです。でも、その撮影で、現場全体が陽と弥生の気持ちのやり取りの難しさと大切さを認識して「ちょっと気合い入れないと」という空気が漂ったので、今思うとよかったのかなと思います。

ーーお2人とも様々な苦労を経て公開にたどり着いた今、今後の展望はありますか?

井樫:『真っ赤な星』では、現時点では、私の中から生まれてくるものを出し切ったと思っています。しばらくインプットしないと、これくらいの熱量のものはできないと思っているので、焦らずやります。このくらいのものはポンポン出せないです(笑)。

ーー桜井さんはいかがでしょう? ドラマや映画出演など多岐に活動が渡っています。

桜井:最近は一つの役にかける時間が長く、密度の濃い役をやらせていただく機会が増えてきていてすごく嬉しいです。30代に入って、今までとはまた違う役ができる年かなと思っています。私はまだ結婚もしていないし、子どももいないので、役を通して自分が経験していないことができるだろうし、これからがすごく楽しみですね。

(取材・文・写真=島田怜於)

■公開情報
『真っ赤な星』
12月1日(土)、テアトル新宿ほか全国順次公開
脚本・監督:井樫彩
キャスト:小松未来、桜井ユキ、毎熊克哉、大原由暉、小林竜樹、菊沢将憲、西山真来、湯舟すぴか、山谷武志、若林瑠海、大重わたる(夜ふかしの会)、久保山智夏、高田彩花、長野こうへい、中田クルミ(声の出演)、PANTA(頭脳警察)
製作・配給:映画「真っ赤な星」製作委員会
配給協力:SDP
2018/日本/カラー/3,1ch/16:9/101分
(c)「真っ赤な星」製作委員会
公式Twitter:@makka_hoshi

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