ティモシー・シャラメは新時代のスター? 繊細さと“男らしさ”から逸脱した演技が評価高める理由に
“新たなるアカデミー賞”を象徴する可能性も
2018年、第90回アカデミー賞で主演男優賞を獲得したゲイリー・オールドマンは、同部門にノミネートされたティモシー・シャラメに対して「君は絶対ここに戻ってくる」と告げた。偉大なる先輩による予言は、たった一年で成就しそうだ。『ビューティフル・ボーイ』での演技を評価されたシャラメは、第91回アカデミー賞での助演男優賞ノミネートが確実視されている。
新時代のアイコンであるシャラメは、もしかしたら「新たなるアカデミー賞」も象徴してしまうかもしれない。22歳にして2年連続ノミネートを受けるだけで大したものだ。アカデミー賞の男優部門は若者には狭き門とされる。例えば、主演女優部門の受賞者にはジェニファー・ローレンスなど30人以上の20代受賞者がいるが、主演男優の場合、20代ウィナーは2003年当時29歳だったエイドリアン・ブロディただ一人である。ノミネートにもその傾向は表れており、2018年『君の名前で僕を呼んで』のシャラメは、史上3番目に若い主演男優賞候補者だった。彼が『ビューティフル・ボーイ』で助演男優賞を受賞した場合は同部門で史上2番目に若いウィナーとなる。受賞には年齢がネックとも囁かれているが、近年、同アワードを主催する映画芸術科学アカデミーは多様性促進の一環として比較的年齢の若い会員を増やしている。ここでシャラメが受賞すれば、アカデミー賞は既存イメージからの変化を示すことができるだろう。『アリー/ スター誕生』のサム・エリオットなど強力なライバルはいるが、シャラメの評価も十分な受賞水準だ。第91回のアカデミー賞は2019年2月、また『ビューティフル・ボーイ』の日本公開は4月に予定されている。2019年はシャラメに目が離せない年になりそうだ。
参考
https://www.goldderby.com/article/2018/timothee-chalamet-beautiful-boy-oscar-odds-846037519/
■辰巳JUNK
ポップカルチャー・ウォッチャー。主にアメリカ周辺のセレブリティ、音楽、映画、ドラマなど。 雑誌『GINZA』、webメディア等で執筆。
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■公開情報
『Beautiful Boy(原題)』
2019年4月、TOHO シネマズシャンテほかにて全国公開
監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン
脚本:ルーク・デイヴィス
出演:スティーヴ・カレル、ティモシー・シャラメ
製作:PLAN B
配給:ファントム・フィルム
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※メイン写真は『君の名前で僕を呼んで』(c)Frenesy, La Cinefacture