Hi-STANDARDの“すべて”が明かされる 初のドキュメンタリー映画が伝える、巨大な夢と愛の核心


 1991年の結成からライブハウスでの活動。アルバムを出すごとに加速していく人気。今のロックフェスの走りとなった『AIR JAM』を主催して3万人以上の観客を動員。アメリカのレーベルからリリースをしてツアーをするなど海外にも進出。自主レーベル<PIZZA OF DEATH>を会社として設立して独立。そこから1999年に発表した3rdアルバム『MAKING THE ROAD』は全世界で100万枚のセールスを記録。人気の絶頂を迎えたハイスタだったが、『AIR JAM 2000』を最後に、公式発表もなく活動を停止する。バンドが自分たちの信じているものを追求すればするほど、バンドの人気が出れば出るほど、喜びもあれば同時に苦悩もどんどん増えていく。この映画の中でメンバー3人は当時の出来事、気持ちをありのままに語っていく。そして、それを裏付けるように当時の映像がライブ映像を中心に映し出されていく。こうした映像はこの映画で初出となるものがほとんどであるのも見どころの一つだ。しかもすべての素材の容量が80TBもあったという膨大な過去のアーカイブから厳選された映像でもある。梅田航はその作業に半年間を費やしたという。


 活動が止まって10年以上の月日。その時期もこの映画では丁寧に描いている。修復不可能と思われたメンバー間の確執はどのようなものだったのか。そこはこの映画で初めて明らかにされるところでもある。赤裸々に語られる活動停止の真相と3人の思い。もちろんそこには3人それぞれの視点がある。だからこそぶつかり合ったわけだし、すれ違いもあったわけだ。ただそこには、バンドがDIYという自分たちの手による活動にこだわり、ハイスタというバンドのあり方にこだわったからだということにも気づかされる。梅田航はここでもその手腕を生かして物語を描いている。


 そして東日本大震災をきっかけに大きく変化した3人の関係。『AIR JAM 2011』でのハイスタ再始動、続く『AIR JAM 2012』の開催。16年ぶりの新作『ANOTHER STARTING LINE』のリリース。『AIR JAM 2016』の開催。18年ぶりのアルバム『THE GIFT』のリリースとそれに伴うアリーナツアー。この間にバンドが蘇り、生まれ変わっていく姿が描かれているのもこの映画の見どころだ。2015年からずっとハイスタの側にいて撮影を続けてきた梅田航にとって、この間のバンドの変化はあまりにもリアルだったという。

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