『踊る大捜査線』青島から『SUITS/スーツ』甲斐へ 織田裕二の俳優人生を辿る

織田裕二の俳優人生を振り返る

 織田裕二を最初に意識したのは1990年に放送された連続ドラマ『予備校ブギ』(TBS系)だ。本作は3人の予備校生を主人公にした青春群像劇。主演は緒形直人、的場浩司、織田裕二。このシリーズは「ブギシリーズ」と呼ばれており、脚本はのちに『女王の教室』や『家政婦のミタ』(共に日本テレビ系)を手がける遊川和彦。当時の遊川はTBSドラマを主戦場としており、プロデューサーの八木康夫と共にコメディテイストのドラマを多数作っていた。

 織田は、的場と共に『ママハハ・ブギ』(TBS系)にも出演しており、TBSの青春ドラマから出てきた若手俳優という印象が強かった。そこで織田が演じていたのは、“軽薄で喧嘩っ早いところもある不良っぽいお兄ちゃん”というイメージで、トレンディドラマ全盛の時代においては随分、男っぽい俳優だと思った記憶があるが、後に彼のデビュー作は1987年の映画『湘南爆走族』だと知って納得した。ちなみに本作は江口洋介の初主演作でもある。

 そんな織田の名が全国的に知れ渡ったのが月9(フジテレビ系月曜9時枠)のドラマ『東京ラブストーリー』で演じたカンチこと永尾完治だろう。

『東京ラブストーリー』(c)フジテレビ

 とは言え、本作の華は赤名リカを演じた鈴木保奈美にあり、優柔不断な男・カンチは織田のキャリアの中では異色作だった。むしろ、彼の魅力が開花していくのは、それ以降のフジテレビ系のドラマだった。

 それは、三谷幸喜脚本の医療ドラマ『振り返れば奴がいる』(フジテレビ系)で演じたヒールの天才医師・司馬江太郎であり、貧乏な青年が大企業で働くことで出世していく姿を描いたコメディテイストのドラマ『お金がない!』(フジテレビ系)の萩原健太郎であり、『正義は勝つ』(フジテレビ系)で演じた、勝つためなら手段を選ばない弁護士・高岡純平である。

 ピカレスクからコメディまで幅広く演じ分ける織田の振り幅の広さは毎回見応えがあり、バブル崩壊以降の日本における、新しいヒーロー像を体現していた。やがて、その流れは刑事ドラマ『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の主人公・青島俊作を演じることで開花する。

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