“異例”の『半分、青い。』から“王道”の『まんぷく』へ 平成最後の朝ドラへの期待
『半分、青い。』から『まんぷく』へ
2018年度の朝ドラは、1971年から始まる『半分、青い。』と、1938年から始まる『まんぷく』という極めて対照的な作品で飾られたと言えよう。『半分、青い。』は北川悦吏子氏の、朝ドラに“革命”をもたらすとの言葉が示したように、異例の展開、台詞、スピードの連続で、確かにある種の新風を吹き込んだドラマだった。バブル経済、金八先生、トレンディードラマ、100円ショップ、ガラケー、浅田真央、東日本大震災などなど。近現代と呼ばれる括りの中でも、比較的最近の“歴史”の中での物語であった。その中で、『半分、青い。』の主人公・鈴愛(永野芽郁)は、友情を育み、夢を追いかけ、恋をして、あるべき生き方を探り続けた。
一方、『まんぷく』は戦前から幕を開け、戦中、戦後といった日本の激動期を生きるヒロインが描かれる。それゆえ、今井福子の人生は、鈴愛のそれとは幾分違った視点から映し出されることになるのであろう。鈴愛と福子では、何に価値を置くか、あるいは何を理想と思うかについては異なるところがあるかもしれない。だからこそ、恐らく主人公のキャラクター像にも(歴代のヒロインの中でも鈴愛はだいぶ“印象的”であったが)それだけ違いが表れることだろう。
ただ、時代やキャラクターが違えどもヒロインの女性はいつも、汗を流し、葛藤し、思い悩み、夢を抱き、そして各々の一生の中でかけがえのない生き方を手に入れようとしてきたものだ。落語家を目指す女性であれ、漫画家の妻であれ、アイドルの女の子であれ、翻訳者であれ、自分なりに一生懸命になって波乱の人生を潜り抜けてきた。そして、今回の今井福子の生き方もまた、日本中の視聴者に感銘を与えていくことになるだろう。平成朝ドラの総決算として、どんな描かれ方がなされるのか、しっかりと見届けよう。
(文=國重駿平)
■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/