『チア☆ダン』でキーパーソンを好演! E-girls 石井杏奈の“表現者”としての絶妙なバランス

石井杏奈“表現者”としてのバランス

 もちろん石井の活動の軸もE-girlsにあるのだが、女優としての活動は2012年からで、連続ドラマ『GTO』(2012・フジテレビ系)や、映画『だいじょうぶ3組』(2013)などで、早くから頭角を現しはじめていた。そんな彼女が大きく存在感を示し始めたのは、やはり『前篇・事件』『後篇・裁判』と二部に渡って製作された大作映画『ソロモンの偽証』(2015)だろうか。本作での石井は、いつもの印象的な笑顔を抑えて悲痛な叫びを披露し、舞台となる閉鎖的な中学校の暗部を力強く体現した。物語のキーパーソンの1人であった彼女だが、ここで見せた演技の求心力に、同年代の役者陣の中で石井が頭ひとつ抜けた存在なのだという印象を持たれた方も多いのではないかと思う。そこには紛れもなく、女優の誕生の瞬間があった。

 ここ最近の出演作でも、『たたら侍』(2017)や『心が叫びたがってるんだ。』(2017)などで物語の重要なポジションを担い、若手俳優陣やベテラン演技者陣の中で、名実ともに止まらぬ勢いで伸びている印象だ。まだ20歳になったばかりで可能性は無限大。それはいくつも、どこまでも広がっている。

 当サイトの過去のインタビュー(参考:E-girls・石井杏奈が語る、女優とパフォーマーの両立 「どちらも挑戦するたびに発見と勉強がある」)内で、「女優のときと、E-girlsのパフォーマーのときと、表現に対する考え方は変わるものですか?」という質問に対して石井は、「……お芝居をするときは、監督がおっしゃってくださったことを守りつつ、期待された以上を返したいって思っているかもしれません。(中略)自分がいつも感じている部分を反映させています。それに対して、E-girlsのときはみんなで合わせて一つのものを形にすることを一番に考えていますね。自分の感情を出していくというよりは、E-girlsという完成形を目指していく感じです。どちらも挑戦するたびに発見と勉強があるので、私にとっては両方とも大事なんだと思います」と答えている。

 ダンス、演技、チームワーク……今作『チア☆ダン』では、まさにこの“表現者”としてのバランスが絶妙に取れているのではないだろうか。そしてここで得たバランス感覚と、表現者としての新たな学びと発見は、ひるがえってE-girlsの活動でも活きるはずである。本作での石井杏奈は、物語の、そして“作品そのもの”の、原動力になっている。お茶の間にも広がる彼女の魅力と活躍は、E-girlsの今後の展望にもつながることとなりそうだ。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
『チア☆ダン』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/

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