E-girls・石井杏奈が語る、女優とパフォーマーの両立 「どちらも挑戦するたびに発見と勉強がある」

石井杏奈が語る、E-girlsとしての役者像

 何気なく過ごしたひとときが、一生の宝物のような思い出になることもある。映画『スプリング・ハズ・カム』(2月18日公開)は、そんなほっこりとした気持ちにさせてくれる作品だ。大学進学のために広島から上京することになった娘・璃子と、その背中を押すシングルファーザーの父・肇。二人で始めた部屋探しは、かけがえのない1日になった――。

 この父娘を演じたのは、落語家の柳家喬太郎とE-girlsの石井杏奈。異色の二人かと思いきやスクリーンに映し出された姿は、どこかの街にいる本当の親子のようなナチュラルな雰囲気を醸し出していた。何気ない会話や表情から繊細な心情の変化が読み取れる。実に自然体な演技で娘・璃子を演じた石井に、今回インタビューを行った。撮影時の想いや聞くにつれて、璃子と重なる“等身大の石井杏奈”の魅力が見えてきた。(吉梅明花)

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監督からの「石井杏奈しかいない」という熱いオファー

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――最初に『スプリング・ハズ・カム』の脚本を読んだ際の率直な感想は?

石井:台本をいただいて読んだときに、まず感じたのはとてもナチュラルだなということです。暖色系な気持ちになるというか、温かくて、柔らかい気持ちがあふれていたので、このまま自分がお芝居をして映像化されたらいいなと思いました。

――璃子は「どこにでもいそうな普通のたたずまい」と「その人にしか発することのできない魅力を焼き付けられる」という2点が求められる難しい役どころ。監督からは「石井杏奈しかいない」と、熱いオファーがあったと聞きました。

石井:そう言っていただけて本当にうれしいです。いつも、役を演じさせていただくときは、自分に役のキャラクターをプラスしたら…っていうお芝居をしているんです。別人になりきるというよりも、そのキャラクターに共感できたところに寄せていこうっていうイメージで。全く別の人になるのも楽しそうだなって思うんですけどね(笑)。もしかしたら、その感じが「どこにでもいそう」感につながっているのかもしれません。

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――今回は、璃子のどのような部分に共感しましたか?

石井:この撮影の1年前くらいに、ちょうど私も一人暮らしを始めたんです。だから、台本を見ながら「わかる!わかる!」ってところがたくさんあって。家具とか食器を、璃子と同じように親と一緒に買いに行きました。カーテンをこんな風に選んだなーとか思いながら撮影していました。

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――早くに母親を亡くした璃子は、上京すると父が一人になってしまうことを気にかけ、一人暮らしに対してちょっぴり寂しさを感じる部分もありました。石井さんの場合は、どんな気持ちで一人暮らしをスタートさせたんですか?

石井:私はもう、一人暮らし=絶対楽しいはず!っていうワクワクが大きくて、理想しか思い浮かべてませんでした。璃子と違って、東京出身なのですぐに帰ることができるので、お別れっていう感じが少なかったのかもしれません。でも引っ越しのとき、お母さんと弟が片付けを手伝ってくれて、途中で私はお仕事で外出したんです。帰ってきたら、お部屋はキレイに片付いていて、机の上にアルバムとお母さんからのお手紙が……。思わず、大号泣しちゃいました。それまでは楽しみばっかりだったんですけど、自立のときなんだっていうのを自覚しましたね。家族がこんなに応援してくれるのだから、がんばらないと!って。そのときの気持ちを思い出しながら、演じていました。

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