吉村界人が物語を駆動させるポジションに 『ケンカツ』吉岡里帆に立ちはだかった次なる試練

『ケンカツ』不器用な吉岡里帆と吉村界人の奮闘

 えみるの説得の甲斐あって、聡美との面談時に欣也は役所を訪れる。そこでえみるが口にしたのは、「制度があなたをいじめているように感じるかもしれない」、そして「来てくれてありがとう」というものである。えみるの個性的な同期たちもそれぞれ奮闘するなか、これがえみるの、えみるなりの受給者との寄り添い方である。欣也を説得すべく、バイク相手に自転車をこぎ、文字通り身体を張った彼女だからこそ言えた言葉だろう。同席していた半田は、高校生を応援する制度があることも説明し、「夢を諦める必要はない。夢を追うことこそ人間らしい生き方で、その支援をしていきたい」と続ける。

 その後の職場の飲み会で、桃浜都(水上京香)はえみるのことを、「本当に頑張ってた。私にはあそこまでできない」と半田にこぼしていたが、人には人の、それぞれのやり方がある。それは“生き方”においても同じことが言えるのだろう。物語終盤の方で、再び“路上のステージ”に立った欣也が「……それが俺なんだ」と歌っていたが、その言葉は、不器用ながら自分なりのやり方で奮闘する、えみるとも重なっていた。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
『健康で文化的な最低限度の生活』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:吉岡里帆、井浦新、川栄李奈、山田裕貴、小園凌央、水上京香、安座間美優、谷まりあ、鈴木アメリ、内場勝則、徳永えり、田中圭、遠藤憲一ほか
原作:柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
脚本:矢島弘一、岸本鮎佳
監督:本橋圭太、小野浩司
プロデュース:米田孝(カンテレ)、遠田孝一(MMJ)、木曽貴美子(MMJ)、本郷達也(MMJ)
制作協力:メディアミックス・ジャパン
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/kbss/index.html

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