『半分、青い。』永野芽郁が追い詰められ崩れ落ちていく 「東京・胸騒ぎ編」終幕へ

『半分、青い。』「東京・胸騒ぎ編」終幕へ

 『半分、青い。』(NHK総合)には、“神回予告”がある。というのは、ドラマの脚本家・北川悦吏子がTwitterで、その日の放送は神回であることを宣言するものなのだが、第13週「仕事が欲しい!」に至ってはその神回が2日分あった。それが、週の頭月曜日に放送された鈴愛(永野芽郁)と律(佐藤健)が数年ぶりに再会し、律のプロポーズで終わるという衝撃展開の第73話。そして、もう一つが、土曜日に放送された第78話。結婚した律の妻・より子(石橋静河)に会うため、大阪へ行った鈴愛が追い詰められていく、週のラストとなる回だ。

 第13週「仕事が欲しい!」では、鈴愛が徐々に壊れていく。大好きな律からのプロポーズを「ごめん。無理だ」と断った4年後の1999年春。28歳になろうとしている鈴愛は漫画の連載も終了し、秋風(豊川悦司)のアシスタントに逆戻り。行き詰まっている鈴愛に追い打ちをかけるかのように、律の結婚報告が届く。律のプロポーズを断った鈴愛の言葉には、「(今は漫画があるから)ごめん。無理だ」という意味が込められていた。しかし、完全に振られたと解釈した律は、ユーコ(清野菜名)とボクテ(志尊淳)が言う“いつのまにか婚”により、より子と結婚。少しずつずれ始めた鈴愛と律の思いは、もう引き返すことのできない大きな溝となって、2人の前に立ち塞がる。

 明らかに鈴愛の表情に異変が現れるのは、葉書で律の結婚を知ったときから。受話器越しに母・晴(松雪泰子)へと確認する「律……結婚した?」というセリフは、幼いときから律と一緒にいた日々を知っている母が、あえて結婚を言ってこなかった意味を飲み込んだ上でのセリフ。虚脱し、さしてやそこまで意味もない実家への電話は、あまりのショックに思考が停止している鈴愛を想像させる。

 葉書に書いてある大阪の律とより子の家に向かう鈴愛。偶然、ベランダに出てきたより子に言われる「よかったら、上がってお待ちください」というセリフは、過去に律と付き合っていた清(古畑星夏)から言われたセリフ、シチュエーションと、生々しくも酷似している。東京に戻った鈴愛は、自ら傷口に塩を塗った常軌を逸した行動に、漫画の創作意欲のためと理由を付け、ネームにぶつける。

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