>  > 加藤よしきの『オンリー・ザ・ブレイブ』評

映画異文化交流の醍醐味! 『オンリー・ザ・ブレイブ』が描く普通の人間とヒーローとしての消防士

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 このような暖かい人間ドラマを描く一方、本作の山火事の描かれ方は映画史上屈指の恐ろしさだ。白眉はそのスピード感であり、筆者が特に恐怖を感じたのは「飛び火」である。風で飛び散る小さな火。しかし、その火が湿度一桁の乾燥地帯では、あっという間に大きな炎に膨れ上がってゆく。まるで『エイリアン』(79年)の酸性の血液のように、僅かな一滴が致命傷になる恐怖がある。しかも飛び火は四方八方から無数に飛んでくるのだ。手がつけられないとは、まさにこういうことを言うのだろう。監督のジョセフ・コシンスキーは、過去にも『オブリビオン』(13年)などで美術に拘りを見せた人物だが、今回は撮影のため実際に燃やす用の森を作るダイナミックな決断を下している。本作の迫力と臨場感は、間違いなく彼の英断のおかげだろう。

 こうした恐怖しかない火災現場に、先に述べたような気のいい兄ちゃんたちが突っ込んでいくのである。その背中に声援を送りたくなるし、立ち塞がる過酷な現実には胸が締め付けられる。消防士という特殊な職業を、喜怒哀楽を持つ普通の人間として、そして人々のために火の中へ突っ込んでいくヒーローとして、最大限の敬意を持って描き切った傑作だ。

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

■公開情報
『オンリー・ザ・ブレイブ』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:ジョシュ・ブローリン、マイルズ・テラー、ジェフ・ブリッジス、テイラー・キッチュ、ジェニファー・コネリー
配給:ギャガ
原題:Only the Brave/2017/アメリカ/カラー/134分
(c)2017 NO EXIT FILM, LLC
公式サイト:http://gaga.ne.jp/otb/

      

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