『絶対零度』『サバイバル・ウェディング』『この世界の片隅に』……2018年夏ドラマ注目作は?

2018年夏ドラマ、注目作4本をピックアップ

『この世界の片隅に』(7月15日(日)21:00スタート/TBS系)

 さて、『サバイバル・ウェディング』の放送翌日もまた注目作品。片渕須直監督によるアニメーションがまだ記憶に新しい中、実写化作品が日曜劇場で放送される。松本穂香が連ドラ初主演を務め、脚本・岡田恵和×音楽・久石譲という豪華タッグで送る。『陸王』『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』『ブラックペアン』と続いた本枠であるが、今回の『この世界の片隅に』はまた日曜劇場に新たな息吹を吹き込むことになるだろう。

 こうの史代の同名漫画が原作の本作は、呉に嫁いだすず(松本穂香)が、太平洋戦争中にひたむきに生きていくさまを描く。幼少期、川原で絵を描いているところを人さらいに捕まってしまう。しかし、先に捕まっていた周作の機転で逃げ出すことに成功。そして、9年後周作がすずを嫁にもらいたいとすずの住む浦野家にやってくる。

“Torn Apart By War. Brought Together By Love.”

 これは英語版の片渕須直監督によるアニメ『この世界の片隅に』のキャッチコピーである。戦争で引き裂かれ、愛で結ばれる。確かに、先程述べたように最近の日曜劇場の作品と比べると趣向が異なり、壮大なテーマと世界観をもった作品となっている。欧米各国でも評価を受けた片淵監督によるアニメは、日本人だけだなく、多くの国々の戦時下での人々の生き方と重なるところがあったのであろう。今回の実写版ではどのように視聴者を震わせるのかが気になるところだ。

 すずの妻・周作を松坂桃李が、すずの幼なじみを村上虹郎がそれぞれ演じるほか、二階堂ふみ、尾野真千子、田口トモロヲ、伊藤蘭(『ブラックペアン』での娘の趣里からバトンタッチ)らが出演する。

『ハゲタカ』(7月19日(木)21:00スタート/テレビ朝日系)

 獲物の体力が弱っているときを見定めると、一気に捉えにかかるハゲタカ。その習性に由来して、株式や社債が安いときの企業を買収し、投資を行った上で莫大な利益を獲得するファンドのことを“ハゲタカファンド”と呼ぶのだとか。

 真山仁原作の同名小説を実写化した『ハゲタカ』。2007年にNHKで放送された本作が、このたびテレビ朝日で、綾野剛を主演に迎えて再び放送される。NHK版では主人公の鷲津政彦役を大森南朋が務めたが、今回は同じくダーティな雰囲気漂う綾野剛が企業や経済界を舞台に暴れまわる。

 バブル崩壊後の1997年、“失われた10年”の渦中にあった日本に突如として現れた外資系投資ファンド代表の鷲津政彦(綾野剛)。 “ハゲタカ”とバッシングを受けながらも、次々と買収劇を仕掛け、鮮やかに勝利していく様を描く。本作では、原作『ハゲタカ』『ハゲタカII』の物語に加え、2018年を舞台にしたオリジナルストーリーも加えられ、リーマンショック、アベノミクスを経た日本経済をどのように鷲津が捉えているのかにも注目したい。

 また、沢尻エリカのほか、渡部篤郎、小林薫、光石研、杉本哲太、池内博之ら硬派な演技派が脇を固め、作品に重厚感を与える。『ヘルタースケルター』、『新宿スワン』と共演をしてきた綾野と沢尻であるが、今回はどんな関わり合いを見せてくれるのだろうか?

 以上が注目4作品の概要である。『ブラックペアン』ロス、『おっさんずラブ』ロス、『花のち晴れ』ロスという具合に、一つのクールのドラマが終わるたびにロスがくるのはつきものだが、ゆっくりと次のクールの作品にも目を向けてみてはいかがだろうか?

(文=國重駿平)

■放送情報
日曜劇場『この世界の片隅に』
TBS系にて、7月15日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
※初回25分拡大スペシャル
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊、『漫画アクション』連載)
脚本:岡田惠和
音楽:久石譲
演出:土井裕泰ほか
プロデュース:佐野亜裕美
出演:松本穂香、松坂桃李、村上虹郎、伊藤沙莉、土村芳、ドロンズ石本、久保田紗友、新井美羽、稲垣来泉、二階堂ふみ、尾野真千子、木野花、塩見三省、田口トモロヲ、仙道敦子、伊藤蘭、宮本信子
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/konoseka_tbs/

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