林遣都、『おっさんずラブ』で役者としての実力を遺憾なく発揮 主演デビューから10年の変化を辿る

林遣都、主演デビューから10年の変化

 テレビ朝日系で放送中の連続ドラマ『おっさんずラブ』が、ドラマ好きを中心に中毒者を増やしている。2016年に単発放送され、今期連続ドラマ化された、モテない33歳のおっさんを中心にめぐるピュアなラブストーリーであり、単独版から続けて出演の田中圭&吉田鋼太郎、連続ドラマ版から登場の林遣都のメイン3人のいずれもに、「代表作!」の声が上がっている。

 そこで、ときに顔芸を見せながらの熱演で作品をけん引する田中と吉田の先輩俳優たちに対し、微妙な表情の変化に心の内を滲ませながら、強烈な存在感を発揮しているのが牧凌太を演じる林遣都だ。

 1990年12月生まれの林。20代も後半となり、大人の役者としての空気をまといはじめた。芸能界入りは05年。07年に、児童文学作品を映画化した『バッテリー』で主演デビューを飾る。天才ピッチャー役を瑞々しく演じて日本アカデミー賞、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとした新人賞を受賞し、一躍存在を知らしめた。

 翌年からは立て続けに主演映画に出演。特に『ダイブ!!』『ラブファイト』、『風が強く吹いている』と、デビュー作の野球にはじまり、水泳の飛び込み競技、ボクシング、駅伝とスポーツものに挑戦し、高い身体能力と、ストイックな姿勢を見せていく。近年、林を知るようになった若い層にはイメージがないかもしれないが、デビューから2010年以前の林には、可愛らしい顔に細マッチョな体型を持つ、体育会系俳優の印象が強かった。

『HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION』より (c)2017「HiGH&LOW」製作委員会

 やがて連続ドラマ初主演作であり、映画版にも主演した『荒川アンダー ザ ブリッジ』で奇想天外なコメディワールドに挑む。そして映画『闇金ウシジマくん』『莫逆家族 バクギャクファミーリア』、ドラマ『カラマーゾフの兄弟』(フジテレビ系)『玉川区役所 OF THE DEAD』(テレビ東京系)、『残念な夫。』(フジテレビ系)、『HiGH&LOW』シリーズなどで、デビュー以来多くを占めていた主演に縛られることなく、多岐にわたるジャンルで役者としての演技を積んでいく。

 16年には『おっさんずラブ』に先駆け、映画『にがくてあまい』で、川口春奈演じるヒロインと同居を始めるゲイの渚を演じ、ここでも料理上手でキレイ好きなできる男子を違和感なく見せた。

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Netflixオリジナルドラマ『火花』より (c)2016YDクリエイション

 そして『おっさんずラブ』に並び、近年の林の代表作に挙げられるNetflixオリジナルドラマ『火花』で主演を務める。いわずもがな、又吉直樹による芥川受賞作のドラマ化であり、林はお笑いコンビ「スパークス」のボケ担当である徳永役で、原作ファンからイメージにぴったり!と大絶賛を受ける。芸人としての生き方、波岡一喜演じる神谷への思い、主人公の抱える感情を全身全霊で体現してみせた。

 その後も25歳の童貞くんを演じたR-15指定の主演映画『チェリーボーイズ』などで、果敢に攻め続けてきた林が、現在、遺憾なくその実力を発揮しているのが、『おっさんずラブ』というわけだ。

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