「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『29歳問題』

「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『29歳問題』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、リアルサウンド映画部の大和田が、香港映画『29歳問題』をプッシュします。

『29歳問題』

 2005年の香港を舞台に、30歳を目前に控えた2人の女性が送る、全く異なる日常が描かれる本作は、本国で第37回香港電影金像奨(香港でのアカデミー賞)で最優秀新人監督賞を受賞。無名の女性監督キーレン・パンの長編デビュー作にして、2017年を代表する1本となった。本作の元になったのは、キーレン・パンが、作・演出を務め、2005年の初演から13年間繰り返し再演された舞台劇『29+1』。舞台が原作の作品ならではの、音楽やちょっとした画面を楽しく見せる演出が効いていて、物語の序盤から、グサリと突き刺さるタイトルのイメージとは一変、コメディの空気をも漂わせる。

 本作に登場する29歳の女性クリスティとティンロは、生年月日が全く同じという設定だ。物語はクリスティの日常を映し出す場面から幕を開ける。クリスティは化粧品会社に務め、昇進を控えるバリバリのキャリアウーマン。スタイルも良く、彼氏と友人に囲まれ、現代における“リア充”といったところだ。しかし、そんな“リア充”で纏われたクリスティの内側には、上司からのプレッシャー、彼氏とのすれ違い、父親の認知症といったさまざまな悩みがあった。一方のティンロは中古レコード店に務め、好きなレコードや映画に囲まれた生活を送る、自由気ままな女性。彼女は1人でいるか、チョン・ホンミンという男友達と一緒にほとんどの時間を過ごしている。クリスティは日記を通して、ティンロの楽天的で幸せそうな生き方を自身と比べ、彼女に惹かれていく。

 女性の若さや老いに対する、年齢を軸とした考えや生き方を描く多くの作品からは、これまでもさまざまなメッセージが届けられてきた。近年馴染みのある国内の作品でいうと、『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)や『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)では、世間の価値観や、自分自身の考えに囚われる“呪い”からの解放を訴えかけていた。本作は、そのような的を得た鋭いひと言を放つというより、物語の仕掛けや作品全体を通して、よりフラットな形でメッセージを送っているように感じた。

 クリスティがティンロの生き方に惹かれた先に何が見えてくるのか。ヒントは、キーレン・パンが、舞台劇『29+1』で映画のティンロとクリスティに当たる主演の2役を務めていたということ。筆者と同じく、29歳を前にどこか怯える節がある方にはぜひ、楽しみながら観ていただきたい。

■公開情報
『29歳問題』
5月19日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
監督・脚本:キーレン・パン
撮影:ジェイソン・クワン
音楽:アラン・ウォン、ジャネット・ユン
出演:クリッシー・チャウ、ジョイス・チェン、ベビージョン・チョイ、ベン・ヨン
原題:29+1
字幕翻訳:鈴木真理子
配給:ザジフィルムズ/ポリゴンマジック
(c)2017 China 3D Digital Entertainment Limited
公式サイト:29saimondai.com

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