☆Taku Takahashiが語る、『ウエストワールド』シーズン2への期待 「何かを発明できることこそが、人間の進化」

☆Takuが語る『ウエストワールド』の魅力

 『スタートレック』『スター・ウォーズ』のJ・J・エイブラムスと、『ダークナイト』『インターステラー』の脚本を手掛けたジョナサン・ノーランがタッグ組み製作された近未来SFドラマ、『ウエストワールド』のシーズン2が、5月24日よりスターチャンネルで日本最速独占放送される。天才科学者フォード博士(アンソニー・ホプキンス)の手によって創られた体感型テーマパーク“ウエストワールド”を舞台に、高度な人工知能(AI)を持つアンドロイドが自我に目覚めるまでを描いたシーズン1に続き、シーズン2ではいよいよ“アンドロイドの反乱”が描かれる。また、新たなテーマパークとして“将軍ワールド”が登場し、真田広之や菊地凛子といった日本人キャストが登場することでも注目を集めている。

 m-floのDJ/プロデューサーであり、大の海外ドラマフリークとしても知られる☆Taku Takahashiは、本作をフェイバリット作品のひとつとして挙げるほどの大ファンだ。最新テクノロジーにも詳しい☆Taku Takahashiは、早くも上陸するシーズン2にどんな期待を寄せるのか。作品の魅力を紐解くとともに、本作が描くディストピアについての見解や、現在の海外ドラマ事情についてまで、大いに語ってもらった。聞き手は、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正。(編集部)

「人間ってどういうものなのか?」を考えさせられる

☆Taku Takahashi

ーーTakuさんがハンパじゃない海外ドラマ・マニアで、最前線の作品もすごいスピードでキャッチアップしている人だという噂はよく耳にしてます(笑)。

☆Taku Takahashi(以下、Taku):最近はよくビンジ・ウォッチって言葉も日本で使われるようになってきましたけど、それも超えて、マンガでいうなら単行本になる前の連載時に全部読むみたいな感じで大量に観てますね。

ーーそんな中でも、フェイバリット作品の一つとして『ウエストワールド』を挙げられている。今日はその『ウエストワールド』の魅力について、いろいろとお話できればと思ってます。

Taku:結果的に2019年のシーズン8で終わることになりましたけど、もともと『ゲーム・オブ・スローンズ』はシーズン7で終わる予定だったんです。だから、HBOは『ゲーム・オブ・スローンズ』に代わるヒット作をどうしてもそれまでに送り出しておきたかった。そういう使命を帯びて始まったのが『ウエストワールド』だったと思うんですよ。ただ、必ずしも『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンがすべて『ウエストワールド』が好きだとは限らない。僕はどっちも大好きですけど(笑)。

ーー『ウエストワールド』にハマったポイントはどこだったんですか?

Taku:昨年エミー賞で作品賞を獲った『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』もそうですけど、今って、ディストピア的な世界を描いた作品が評価される時代じゃないですか。

ーートランプが大統領に就任して以降、顕著になってますよね。

Taku:はい。で、『ウエストワールド』はそうしたディストピア的な世界の中で「人間性とはどういうものなのか?」ということを描いていくんですけど、シーズン1の時点では「人間の本質は悪である」というところが強調されていて。そこからシーズン2でどのように展開していくんだろうというのが、今、気になって仕方なくて。ロバート・フォード(アンソニー・ホプキンス)のシーズン1の最後の方のセリフではますますダークになっていく可能性も示唆されていたんですけど、どこかしら希望の光みたいなものも見えてくるんじゃないかなって。僕、いろいろな映画やドラマを見ていてウワーッ!と盛り上がる要素がいくつかあるんですけど、そのうちの一つがタイムパラドックスもので。同じことが繰り返される中、登場人物が未来を変えようとする話が好きなんですよ。

ーーあぁ、最近の作品でもいくつか思い浮かびますね。

Taku:もともと押井守さんの『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)が大好きで、自分の嗜好が形成されたのはそこからだと思うんですけど。あと、90年代だと『恋はデジャ・ブ』とか。自分にとって『ウエストワールド』の面白さはその延長上にあって。一日が終わると、またリセットされて、同じ一日が始まるっていう。

ーーその設定って、日本人のクリエイターも得意なやつですよね。トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)も原作は桜坂洋でしたし、もちろん『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の影響も大きいんでしょうけど、アニメ作品にもたくさんある。

Taku:そう。ちょっと『モンハン』(※モンスターハンター)的というか、『モンハン』の世界をリアルに体験できるテーマパークみたいな。で、それってすごくm-floっぽい世界だなとも思うんですよ。m-floはここまで残虐じゃないですけどね(笑)。

ーーセックス、バイオレンスなんでもありだし、正直、最初の数話はちょっと展開が重いですよね。途中からいろんな謎や仕掛けが判明していってどんどんスピードアップしていくわけですが、Takuさんはまだシーズン1も見てない人に『ウエストワールド』をオススメするとしたら、どのようにオススメしますか?

Taku:『ウエストワールド』って、もともとマイケル・クライトンの原作があって、過去に映画化もされていて、リアルなテーマパークを描いた作品なわけですけど、今回のドラマシリーズって要するにウエスタンの世界を舞台にしたRPGだと思うんですよ。だから、『ドラクエ』とか『モンハン』をやるみたいな感じで気軽に入ってきてほしいですね。

ーーなるほど。

Taku:あと、何がおもしろいかって、これってAIの話じゃないですか。つまり、『鉄腕アトム』みたいな話なんですよ。天馬博士みたいなキャラクターが本当に出てきますしね。あと、『PLUTO』でも描かれていたような「ロボットにも人権はあるのか?」というシリアスな問いかけもある。あと、『マトリックス』シリーズで描かれてきた仮想現実の世界だったり、『ターミネーター』シリーズのスカイネットみたいな要素もある。

ーー考えてみたら、日本の視聴者の好きなものだらけという。

Taku:そうなんですよ。きっとこの先のシーズン2では、人間とAIのどっちが人間味があるかって話になっていくと思うんですけど、想像するだけでワクワクしてきますよね。『ウエストワールド』を見てると「人間ってどういうものなのか?」ってことを考えさせられるんですよ。人間であることを定義するのが人格だとして、その人格はどうやって生まれてくるのかっていう。劇中で描かれている「苦しみが自我を生む」っていうテーマは、クリエイター的にもグッとくるし、私生活を振り返ってみても「そうかもしれないな」って思わせてくれる。苦しいのは嫌ですけどね(笑)。

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