世界中であらゆる記録を更新中『インフィニティ・ウォー』も、日本では動員ランキング初登場2位

『インフィニティ・ウォー』日本では初登場2位

 世界中で社会現象を巻き起こしている大ヒット映画が、日本ではそこまで大きな社会現象にならない。自国特有のアニメ映画文化が幅広い年齢層にまで根づいているという意味では、そのこと自体が非難されるいわれはないだろう。ちなみに韓国での『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のオープニング3日間の成績は、日本円で換算すると約43億円。人口比を勘案すると日本と比べて10倍規模の空前の大ヒットを記録しているわけだが、同作が国内のスクリーンの85%を占拠していて、週末の国内興行の95%を稼ぎ出してしまったことが問題視されて、今後は一つの作品を上映できるのは40%以下のスクリーンになるように法律で規制される見込みだという。(参考:Infinity War’s Box Office Dominance May Lead to Changes in Korean Law

 このように『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』クラスの超大作になると、上映されるそれぞれの国の興行を取り巻く特徴や課題を浮き上がらせていく。とりあえず日本の観客は、配給サイドの「大ヒット」(繰り返すが、それは間違いではない)という言葉に踊らされるだけでなく、そこに国内外における異常なまでの温度差があることだけは知っておいたほうがいいだろう。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
全国公開中
監督:アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ロバート・ダウニーJr.、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチ、ドン・チードル、トム・ホランド、チャドウィック・ボーズマン、クリス・プラット
原題:Avengers: Infinity War/全米公開:4月27日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2018MARVEL
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-iw/home.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる