佐藤健の高校生役は29歳にして違和感なし! 『いぬやしき』や『半分、青い。』の演技を考察
連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)で、永野芽郁演じるヒロイン・楡野鈴愛を優しいまなざしで見守り、爽やかな高校生姿を披露している佐藤健。封切られたばかりの『いぬやしき』でも同じように高校生を演じているが、こちらは爽やかさとは程遠い、佐藤自身初のダーティーなキャラクターだ。
2006年に放送されたドラマ『プリンセス・プリンセスD』(テレビ朝日系)にて、17歳で俳優として走り出した佐藤。その後すぐに『仮面ライダー電王』(テレビ朝日系)で主役ライダーという大役をつかみ、一気にスターダムを駆け上がった。彼がデビューした17歳と言えば、現役高校生である。デビュー作も高校生役であったが、当然ながら彼は多くの作品で年相応である高校生役を演じてきた。
それらの中でも深く印象に残っているのは、やはり『ROOKIES』(TBS系)の岡田優也役だろうか。数ある学園ドラマ、不良ドラマ、そしてスポ根ドラマの中でも金字塔的な位置づけにある本作には、当時の人気若手俳優がこぞって出演。ここに名を連ねることは、仮面ライダーからのさらなる飛躍と言ってよいものであった。さらに、岡田役で見せた口数の少ないクールなキャラクターは、『仮面ライダー電王』のコミカルな芝居から一転して、演技の幅の大きさを見せつける機会ともなっていた。続く『Q10(キュート)』(日本テレビ系)、そして映画『バクマン。』(2015)などで年齢とキャリアをともに重ねつつ、高校生役を演じてきた。
あれからすでに10年以上の月日を、俳優として、その最前線を走り続けてきた佐藤はすでにもう29歳。しかしながら、いまだに高校生役が違和感なくしっくりくる。
『半分、青い。』で彼が演じる萩尾律というキャラクターは、ヒロイン・鈴愛と同じ日に同じ病院で生まれて育った幼なじみ。仲良しグループのみんなと青春を謳歌しながらも、ひとりだけいつも冷静でどこか大人びた存在だ。佐藤自身のキャリアがキャリアなだけに、その安定した演技にはもはや瑞々しさは感じられないかもしれない。しかしだからこそ、時おり見せる少年のような笑顔の効果は大きく、本作が日本中に爽やかな朝を届けることに貢献している。実際的な若さ以上に、彼のように経験を積んできたからこそできる、良い意味で余裕のある“高校生芝居”といったところだろうか。