吉高由里子、初めての殺人事件に大奔走 『正義のセ』で描かれた“親の想いと子の本心”

吉高由里子、初めての殺人事件に大奔走

 また、近くにいたとしても、相手の知らない部分はあるはずだ。たとえば、“本心”は見えにくいことがある。凜々子の妹・温子(広瀬アリス)が実家の豆腐屋を継ぐと言った際に、父・浩市(生瀬勝久)が「だからお前には無理だって言ってんだよ!」と反対し、喧嘩になっていた。浩市の本心は、娘が「継ぐ」と言ってくれたことが本当は嬉しくて仕方ない。だが、今の時代に豆腐屋を続けていくのは大変だからこそ、温子には苦労をかけたくないというものだった。浩市は、姉である凜々子が検事になったから、温子はこの豆腐屋を継がなければいけないという使命感で「継ぐ」と言ってくれたのだと思っていたのだろう。しかし、温子の本心は「本気でこの店を継ぎたい」であった。

 親が子を想う気持ちはとてつもなく大きくて深い。だからこそ、ときに子の本心を見失っている場合がある。町田かれんは幼い頃に両親が離婚したため、仕事で忙しい母に構ってもらえなかったという。「だから、まりあにはそんな寂しい思いはさせまい」「どんな父親でも両親が揃ってるほうがいい」と思い、夫から暴力を受けても離婚しなかったのだとか。気付かぬうちに、まりあの“ため”と思ってしていたことが、まりあの“せい”になっていた。結果、まりあがどんなに本心を叫んでも町田かれんの耳には入らず、無視し続けていたのだ。

 だが、子もまた親の想いに気づけないことがしばしばある。なんで?と疑問に思う親の言動が、実は子のためだったということも少なくない。まりあが1人で暮らすようになってから、「自分の力で生きていくのって本当に大変。もし子供がいたりしたらもっと大変なんだろうな」と母親の気持ちが少しだけわかったように。どんなに離れていてもすれ違ってしまっても、親子はつながっている。だからこそ、親の想いに子が気付き、子の本心に親が気づいたとき、今まで以上に私たちは前に進めるようになるのかもしれない。

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 まりあが本心を綴った手紙を読んだことで、自分のしたことを認め、罪を償うことを決意した町田かれん。夫を殺す直前に「あなたといると……前に進めない!」と言っていた彼女だが、懲役10年を経て外に出たとき、娘のまりあとともに前に進むことはできるのだろうか。凜々子の言葉「自分のしたことを認めなければ、前へ進めませんから」が、彼女たちの未来を示唆しているのかもしれない。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~放送
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/

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