百田夏菜子&芳根京子、『べっぴんさん』組が見せた声優としての実力
勢いのある若手女優が声優を務める映画には賛否両論がつきまとう。宣伝効果を狙った起用という裏側が見えてしまうだけに仕方のないことだが、それでも結果を残してきた作品が多くある。3月公開映画には、アメリカで公開されるや否や大反響を呼んだ『ブラックパンサー』、ユニバーサル・スタジオとドリームワークス・アニメーションが初タッグを組んだ『ボス・ベイビー』の2作に、百田夏菜子と芳根京子がそれぞれ声の出演を果たした。
『ブラックパンサー』は、4月27日公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』につながる重要な作品として大々的に告知され期待が高まる中、国王とヒーロー、2つの顔を持つ主人公・ティ・チャラ/ブラックパンサー(チャドウィック・ボーズマン)の妹で、ブラックパンサーのスーツや武器を開発する天才科学者・シュリ(レティーシャ・ライト)の吹き替えを百田が務めた。
百田はももいろクローバーZのリーダーとしてアイドル活動を行いながら女優としても精力的に活動。NHKの連続テレビ小説『べっぴんさん』では、オーディションを勝ち抜きメインキャストに名を連ねた。声優としては、昨年『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』にゲスト声優として出演。そして、百田の吹き替え初挑戦となった作品が『ブラックパンサー』だ。世界が注目するマーベル・スタジオ作品のメインキャストへの抜擢だったが、これまでの女優としての評価をみれば納得の配役だろう。実際、作品に溶け込む演技を見せ、“天真らんまんでお調子者の天才科学者”を見事に演じ切っている。
一方の芳根は、『ボス・ベイビー』で両親の愛情を一身に受けながら育てられた7歳の少年ティムの声優を務めた。物語は大人になったティムのナレーションとともに進んでいく。成長した大人のティムを声優の宮野真守が演じており、同じ役なだけにどうしても比べて観てしまうが、朝ドラをはじめ多くのドラマや映画でヒロインを務めてきた芳根の実績を裏付ける素晴らしい声の演技だった。
特にムロツヨシが演じる、中身がおっさんの赤ちゃんボス・ベイビーとの掛け合いは、テンポの良さとともに、芳根特有の優しく柔らかい声色が“7歳の少年“と見事にマッチ。太めの声で”大人の声“を聞かせる宮野とは正反対だが、共通する部分も感じさせ、ティムを非常に説得力のあるキャラクターに仕上げている。