ジョン・ウー監督が語る、『マンハント』キャスティングの背景 「福山雅治さんは感受性の強さ」
本日2月9日より公開された『マンハント』は、『レッドクリフ』シリーズのジョン・ウー監督の最新作にして、大阪を中心に撮影が行われたアクション映画。無実の罪を着せられたな国際弁護士のドゥ・チウと、真実こそ正義と信じる孤高の刑事の矢村が、殺人事件の裏に隠された真実に迫っていく模様を描く。
リアルサウンド映画部では、メガホンを取ったジョン・ウー監督にインタビュー。福山雅治をはじめとしたキャスティングや、アクションの演出方法、ジョン・ウー監督作品ではお馴染みの白い鳩についてなど、じっくりと語ってもらった。
「キャスティングする際に最も重要視したのは“演技力”」
ーーまずは、チャン・ハンユーさんとともに主演を務めた福山雅治さんの印象を教えてください。
ジョン・ウー:福山さんのことは以前から知っていて、好きな俳優さんの一人でした。もちろん、彼の作品も観たことがありますし、2013年にはビールのCMのお仕事でご一緒しています。また歌手としての福山さんは、歌の中に人類や社会の平和、それらに対しての想いをよく込められている印象です。私は彼のそういう部分もとても評価しています。
ーーなぜ福山さんを大阪府警の刑事・矢村聡役にキャスティングしたのでしょうか?
ジョン・ウー:彼が演じる刑事・矢村聡という役は、原作である西村寿行さんの小説『君よ憤怒の河を渉れ』や、1976年に公開された高倉健さん主演の同名映画に出てくる彼とは、少しテイストが違っています。原作では、矢村は非常にクールな人物として描かれていましたが、今回私が求めていたのは、人間味があって感性豊かなキャラクターです。その点で、福山さんは歌手としても成功を収めているので、感受性が強い方という認識があり、彼にぴったりなのではないかと思いました。期待通り、彼は矢村という役を正義感が強く、しかもかっこいい刑事として演じきっています。
ーー矢村のキャラクターをはじめ、原作とは登場人物や設定などが異なる部分が多々見受けられました。特にホームレスの男性・坂口(倉田保昭)と、彼の仲間のホームレスたちの言動が印象的でした。
ジョン・ウー:倉田さん演じるホームレスの坂口というキャラクターは原作にも登場していますが、彼と一緒に暮らす周りのホームレスたちは、今回新たに付け加えました。原作では、彼が登場したのは一度だけだったと思うのですが、今作では彼もまた主人公に協力する重要な一人として描きたかったので、出演シーンを増やしています。そのため、原作よりも複雑な側面を持っている人間像に仕上げました。
ーーオリジナルという部分でいうと、あなたの作品は、白い鳩が必ず登場することでも有名です。今回の作品でも2回登場していますよね。なぜ、あのシーンで鳩を入れようと?
ジョン・ウー:鳩は純潔や愛、平和、善良、友情、喜びなど様々な意味を持っています。なので、解釈によって意味も変わってきます。私の作品の中で最初に鳩を使用した『狼/男たちの挽歌・最終章』のときと同じく、今回も主人公2人の内面世界を表現するために登場させました。鳩は私にとってシンボル的な存在なのです。