深田恭子の“困った笑顔”が切ない 『隣の家族は青く見える』が男女から共感されるワケ

 涙を必死にこらえながら、奈々がつらい本音を漏らすシーンではもらい泣きしてしまった。子供が好きな奈々だからこそ、スクスクと育つ琴音の子供のことを素直に喜べなかったのは悔しかったに違いない。奈々は、接する人の心情を察し、優しく声をかける女性だ。そんな心優しい奈々だからこそ、自分と相手とを比べて、子供ができない悔しさを感じ、「なんであの人には子供ができて、私には……」と思ってしまったことがとても心苦しいのだろう。不妊症に悩み、他人と自分を比べてしまう女性の姿を、深田はその目に浮かんだ涙と震える声で演じきったのだ。

 困ったように笑う深田の表情が、奈々が無意識のうちに隠してしまう不妊への不安やつらさを物語っている。深田は奈々をステレオタイプのか弱い女性として演じていない。しっかり者だからこそ不安やつらさを隠して抱えてしまう、ある一人の女性を見事に演じているのだ。それが、本作が女性からも男性からも共感される好感度の高いドラマとなっている大きな要因だろう。

 次回予告を見ると、奈々と大器は人工授精を勧められている。不妊治療の次の段階に進んだのだ。孫を望む大器の母・聡子は、2人の家に子宝グッズを持参し、明るく楽しそうな姿を見せるが、一方で奈々の母・春枝(原日出子)が「お母さんは反対よ」と言っているのが気になる。2人の妊活がどう進んでいくのか、奈々の精神面も気になり始めた第3話以降、楽しみでもあり不安でもある。

参考:「男女ともに不妊原因がはっきりしない場合、どのように治療に取り組んだらいいの? WOMAN PARK

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
木曜劇場『隣の家族は青く見える』
フジテレビ系にて毎週木曜22:00から放送
出演:深田恭子、松山ケンイチ、平山浩行、高橋メアリージュン、北村匠海、眞島秀和、真飛聖、野間口徹、伊藤かずえ、高畑淳子、橋本マナミほか
脚本:中谷まゆみ
プロデュース:中野利幸
演出:品田俊介、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/tonari_no_kazoku/

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