石原さとみ、井浦新、窪田正孝が語る『アンナチュラル』の特異性 石原「初めての経験だった」

石原×井浦×窪田『アンナチュラル』鼎談

窪田正孝「聖徳太子みたいに聴覚を研ぎ澄ましておかないといけない」

ーー三人の掛け合いや会話のシーンについても教えてください。

井浦:窪田くんとの三人のシーンではないのですが、さとみちゃんと(市川)実日子ちゃんとの三人のシーンでは、あっちいってこっちいってみたいになってますね(笑)。

石原:中堂の話をすると、実日子さん演じる東海林のアゴが出るっていう(笑)。しかも狙いじゃなく自然に出てしまうんですよ。

井浦:嫌いな人の話をするとアゴが出るらしいです。だから毎回「アゴアゴ!」って誰かしらがツッコミを入れてますね(笑)。

石原:あと、坂本さん役のずん飯尾さんと新さんのかけあいが絶妙です。ぜひ一話の中でも、中堂の“クソ”のバリエーションの多さを感じて欲しいです。

ーー台本にはないアドリブも多いのですか?

石原:アドリブっていうのかな、なんていうんだろう……。ただそこで生まれたものをそのままやったら、OKが出たという感じです。だから、アドリブをしてます感も一切ありません。相槌をどこで打ってもいいし、好き勝手やらせていただいていますね。昨日(取材当時10月26日)も、久部くんが初めてお手柄をあげるシーンを撮影していたのですが、そこで彼が何かを話している時に、ずっと私は「すご~い」って携帯を見ながら、適当に相槌を打っていました。それも全部OKっていう。それをアドリブというか相槌というかですよね。

窪田:聞かせる台詞と聞かせない台詞のダブルトークですよね。普通は誰か一人がセリフを言っている間は、他の人たちは黙っています。でも、今回はその制限がない。だから、いつも東海林さんとミコトさんはダブルトークをしています。二人から発せられる情報が早すぎるので、僕は聖徳太子みたいに聴覚を研ぎ澄ましておかないと、え? 今、何て言ったの? という感じに置いてけぼりをくらってしまいます(笑)。

井浦:突然、さとみちゃんと実日子ちゃんが大きな声で笑い出すので、一瞬、な、なんだろう……ってビックリします。

石原:ツッコミどころが多すぎてもう大変。

窪田:めちゃくちゃ面白いですよね。

井浦:より自然なんだよね、きっと。

石原:無理しなきゃいけないところは、「やらなくていい」「言えないセリフは、言わなくていいよ」って言ってくださるんです。だから、何も無理してないし、変に頑張ってもいません。ただ、そこでミコトとして生きていればいいって、すごく貴重な環境だなと思いますね。

ーー監督はじめスタッフ、そしてキャスト陣が一体となって、『アンナチュラル』独自のチーム感が出来上がっているように思います。では、お互いの印象を教えてください。

石原:新さんとは今回三度目の共演なので、同じ時間を共有したという意味では知っていることも多く、信頼度も高いです。新さん演じる中堂は、とにかく態度が悪くて本当にひどい役柄なんですよ(笑)。だけどその中にも優しさや可愛らしさ、幼さが垣間見えるので、ズルイ人です。ミコト自身は中堂に対して呆れているのですが、私は何だかちょっと愛おしく思ってしまうぐらい、新さんには安心感があります。また、ミコトは今まで演じてきた役柄とは全く違うので楽しいですね。窪田さんは今回が初共演なのですが、イメージよりも遥かに明るくて、まさに久部くんといった感じです。

井浦:僕も窪田くんとほぼ初共演ですね。同じ作品自体には出演させていただいたことがあったのですが、お互いに目を見てお芝居をさせていただくのは今回が初めてです。僕は窪田くんのお芝居を色々なところで拝見していたので、静も動もどちらもできる役者さんという印象でした。窪田くんの一言一言がすべて新鮮なので、次はどんなお芝居を見せてくれるのかと、すごく楽しみにしながら撮影しています。

 さとみちゃんは、三度目の共演ということを忘れてしまうぐらい、毎回新しい風を吹かせて下さいます。僕たち共演者が悩んでいたら、一緒に悩んでくれるような方なので、僕自身もさとみちゃんに対してすごく安心感を抱いていますね。まさに同志という感じです。まだまだ撮影は残っているので、今回はどんな関係性を築いていけるのか、とてもワクワクしています。

窪田:僕は、さとみさんと一緒のシーンが圧倒的に多いのですが、さとみさんはミコトへの向き合い方が本当にプロフェッショナルで、自分の芯をしっかり持ってお芝居をされているという印象です。ミコトの動きや言葉遣いなど、言動一つひとつに注意を払って、感覚を研ぎ澄まされているので、職人技を目の前で見させていただいているような感覚です。台本からそこまで読み取るのかと、驚かされます。

 新さんは、こんなにも謙虚な方は他にいないんじゃないかと思います。でも、中堂さんの役に入ったら、身に纏うオーラや雰囲気すべてがガラリと変わるので、普段の新さんをちょっと疑ってしまうくらい激しいギャップがあります(笑)。基本的には、さとみさんと市川実日子さんとの三人でのシーンが多いので、たまにある新さんとの男同士のシーンがすごく新鮮で、やっていて胸が高鳴ります。六郎という役は記録係なので、観察するのが仕事なのですが、今のところ六郎には、まだ核となる部分が見えてきていません。周りのみなさんが持つ、それぞれの過去や芯の部分を観察しながら、見つけて行けたらなと思っています。

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