櫻井翔、30代でたどり着いたミステリアスな役者像 『先に生まれただけの僕』校長役がハマる理由

 嵐の櫻井翔が主演を務めるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ)が、奨学金やスクールカーストといった、現在の学校を巡るリアルな問題を取り扱ったことで話題となっている。

 櫻井が演じるのは、類まれな営業力を持つ商社マンであり、彼の勤める企業が経営する不採算の高校を立て直すために校長として送り込まれる男・鳴海涼介。実年齢と同じく、弱冠35歳で校長になったという設定で、櫻井はリアリストな一面を持つ鳴海を、知的かつミステリアスに演じている。

 教師と生徒の関係性ではなく、教師が諸問題に対してどう向き合うかを描いた点でも、かつての学園ものとは一線を画するドラマとなりそうな本作。中でもキーとなるのは、やはり主人公の櫻井翔だと、ドラマ評論家の成馬零一氏は指摘する。

「本作の脚本を手がけるのは、『HERO』(フジテレビ)や『ガリレオ』(フジテレビ)などの作品で知られる福田靖氏で、チーフディレクターは、『ゆとりですかなにか』(日本テレビ)の水田伸生氏です。福田氏の脚本は“ポップな社会派”という感じで、シリアスなテーマを軽やかなタッチで描くことに定評があります。一方の水田氏の演出は、暗めの画面で重厚に描いていくのが特徴です。そのため『先に生まれただけの僕』は、軽さと重さが同居した、独自の作風になっていると感じます。唐突に話が重くなったりするシーンは評価の分かれるポイントだとは思いますが、ドラマとしては新鮮ですね。そして、その独自の作風に、櫻井さん演じる主人公の佇まいはぴったりとハマっています。この役は彼にしかできないのではないかと思うほど、相性が良いです。

 櫻井さんは、ニュースキャスターなども務めていることから、知的で穏やかなイメージがありますが、一方でどこか腹の底の見えない感じもあるんですよね。明るくて賢いんだけれど、同時に冷たさも感じさせるというか。本作で演じている鳴海涼介はまさにそういうタイプで、一見すると合理主義的だけれど、実は生徒のことも考えているという。櫻井さん特有の、いい意味での“胡散臭さ”を活かしたキャラクターで、本作を象徴していると思います」

 また、櫻井にこうした役柄がハマるようになったのは30代になってからだと、成馬氏は続ける。

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