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『監獄のお姫さま』は集大成ーーTBS・金子文紀Dが語る、宮藤官九郎とのドラマ作り

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「おばさんたちにだって譲れないことはある」

『監獄のお姫さま』第1話より

ーー最近だと金子さんは、『逃げるは恥だが役に立つ』や『カルテット』、『あなたのことはそれほど』など、火曜ドラマの話題作を手がけています。その中での自信作は?

金子:自分が手がけたドラマは全部好きだけれど、最近では『逃げ恥』の第6話ですね。ふたりが温泉旅行に行って、最後に電車で帰ってくる話。あれは僕の中で傑作なんですよ。でも、何より今回の『監獄のお姫さま』こそが、一番の自信作ですね。第1話と第2話はすでに撮り終えているのですが、手応えはあります。

ーーここ数年のテレビドラマを観ていると、SNSで話題になることがヒットの一因になっているように感じます。反響は気にしますか?

金子:良い話は気にするけれど、悪い話は気にしないようにしています(笑)。あまり考えすぎると病んでしまいますからね。昔、『ケイゾク』をやっていたときに、2ちゃんねるで話題になっていたのでよく読んでいたんですけれど、そこの意見に振り回されそうになって、これは良くないなと。ただ、ツイッターの時代になってからはそれが宣伝効果になって、視聴率だけではなく、話題性にもつながるから、ありがたいとは思っています。どのシーンにどんな反響があるのかは参考になるから、オンエアー中はチェックもしますね。ただ、最近は行間が読まない人が増えているのかなという懸念もあって。

ーーそうかもしれません。

金子:ドラマの醍醐味って、登場人物が気持ちとは異なる行動を取ったり、正直に言うのが照れ臭いから捻くれた言い方をしたりして、それに対して見た人が「本当はこう思っているんでしょう?」って想像するところにあると思うんです。そして、実生活での会話や人間関係の中では確認できないような感情を、彼らの姿を通して再確認する。「この人の気持ちはわかるな」とか、「あの人ももしかしたら同じように思っているのかな」って。こういう表現は、バラエティー番組やニュース番組では表現しづらいことで、そこにドラマの良さがあると思うのですが、最近は話されている言葉や見えている姿が面白ければそれでOKというか、行間のない、考えなくても良いドラマが求められているようにも思います。だからこそ、せめて僕らの作るドラマではいろいろと考えて、想像を巡らせて観てもらえるようにしたいですね。

ーー『監獄のお姫さま』の登場人物は罪を犯した女性たちで、たしかにいろいろと考えさせられそうです。

金子:基本的に、彼女たちのやっていることはくだらないことばかりで、良い大人なのにふざけてばかりいるように見えるんですけれど、刑務所という過酷な環境にあって、彼女たちはそうしなければやっていられないんだと思うんです。そして、刑務所に入るまでには、みんなそれぞれ口に出したくないほどの深い傷があって、それを抱えながら生きている。刑務所に入ったからといって、何もかもをあきらめたり、捨てているわけではなくて、譲れないことだってちゃんとある。大人になれば誰もが少なからず抱えているそういう感情を、彼女たちの姿から感じてもらって、楽しんでもらえたら嬉しいですね。

ーー火曜ドラマには毎回、いろんな人生を抱えた登場人物たちがいますが、それぞれの生き方を否定しない物語になっているのが特徴なのかなと。

金子:否定も肯定もしないですね。なにかを決めつけるのではなくて、多様性を受け入れるというテーマの作品が多いと思います。人はこうあるべきと決めつけるのは、なにも良いことを生み出さないと思うし、こういうテーマの作品が求められるのはすごく良いことだと、僕は思っていますね。もちろん、社会の中でやっていく上で、規律は必要だし、それがなければ回っていかないこともたくさんあります。そういうストレスを解消していくのも、ドラマの役割なのかなと。

ーー『監獄のお姫さま』も、そういう作品になっていくと?

金子:もちろん犯罪を犯すのは悪いことだし、それを肯定はしないのですが、だからといって彼女たちを人でなしとして描くのは違いますよね。犯罪を犯した側の人間にだって辛い事情があるだろうし、逆に彼女たちをどうしても許せない人間もいるはず。だから、答えは出せないと思います。連続ドラマは毎回、最終回をどう締めていくのかが難しいんですけれど、答えはなくともなにかを感じてもらえるドラマにはなっているはずなので、ぜひ観てください。

(構成=松田広宣)

■高根順次
1973年生まれ。大学卒業後、AVEXD.D.(現・AvexGroup)入社。半年間のAD生活で社会の洗礼を受けた後、スペースシャワーTVへ転職。フリーペーパー『タダダー!』の立ち上げに始まり、『スペチャ!』『爆裂★エレキングダム』他、数多くの番組をプロデュース。現在はライブ動画をウェブ上にアーカイブするプロジェクト『DAX』やヒップホップ番組『BLACKFILE』を担当。一方で『フラッシュバックメモリーズ 3D』をきっかけに映画製作に乗り出し、以後、『劇場版 BiSキャノンボール2014』、『私たちのハァハァ』、『劇場版 BiS誕生の詩』,『WHOKiLLEDIDOL? SiS消滅の詩』と、2017年春までに4本のプロデュース作を劇場公開している。2017年4月に『PRODUCERS’ THINKING』を上梓。最新作『劇場版アイドルキャノンボール2017』は2018年2月全国公開。http://idol-cannon.jp/

■番組情報
火曜ドラマ『監獄のお姫さま』
TBS系にて10月より放送
脚本:宮藤官九郎
プロデューサー:金子文紀、宮崎真佐子
演出:金子文紀 ほか
出演:小泉今日子、満島ひかり、伊勢谷友介、夏帆、塚本高史、猫背椿、池田成志、坂井真紀、森下愛子、菅野美穂
製作著作:TBS

      

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