松坂桃李、『わろてんか』子役との恋模様が話題に どんな設定も乗りこなす“素直さ”を読む
そして、こうした“素直さ”というのは、もともと松坂自身に備わった資質なのかもしれない。それは、会見やインタビューでの受け答えにもあらわれている。報道陣や関係者の質問に対して、松坂はよく「なるほど」と前置きを入れることが多い。相手の話をいったん自分のなかに受け入れるのだ。俳優としても人としても吸収力があり、しっかり人物に寄り添い、ストレートに表現することができるという印象が強い。
こうした特性は、ある意味で予定調和を生み出しやすく、キャラクターに感情移入しやすいという部分もあるが、一方で、物語の風味やテンポを大きく変えるような人物を演じるうえでは、適していない特性ように感じることもあった。
だが、2016年に公開された映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で演じたヒッチハイクをしている青年・拓海は、自身の持つ“素直さ”を存分にいかした説得力のあるキャラクターだったが、作品全体のペースを変える役割も果たした。どちらかというと、じっくりと人物や家族関係を描いていく展開のなか、拓海が登場することにより、一気に作品のペースが変わり、軽やかさが増した。主演の宮沢りえ、娘役の杉咲花の演技は文句なく素晴らしいものだったが、松坂の存在も、この作品を語るうえでは欠かせないほど効いていた。
今秋は『わろてんか』をはじめ、現在公開中の『ユリゴコロ』、白石和彌監督がメガホンをとった『彼女がその名を知らない鳥たち』の公開も控えている。持ち前の“素直”で感情移入しやすいキャラクター造形にプラスし、作品のペースを変えるような“緩急”も兼ね備えた松坂の快進撃は当分続きそうだ。
■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
■番組情報
NHK連続テレビ小説『わろてんか』
出演:葵わかな、松坂桃李、濱田岳、高橋一生、遠藤憲一、鈴木保奈美、竹下景子、千葉雄大、堀田真由、徳永えり、広瀬アリス、大野拓朗、前野朋哉、藤井隆、枝元萌、兵動大樹、内場勝則、鈴木京香、岡本玲、新井美羽、鈴木福、前田旺志郎
作:吉田智子
音楽:横山克
平成29年10月2日(月)~平成30年3月31日(土)全151回(予定)
<総合>
(月~土)午前8時~8時15分/午後0時45分~1時[再]
<BSプレミアム>
(月~土)午前7時30分~7時45分/午後11時~11時15分[再]
(土) 午前9時30分~11時[1週間分]
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/warotenka/
■公開情報
『ユリゴコロ』
9月23日(土)全国公開
出演:吉高由里子、松坂桃李/松山ケンイチ、佐津川愛美、清野菜名、清原果耶、木村多江
原作:沼田まほかる『ユリゴコロ』(双葉文庫)
音楽:安川午朗
主題歌:Rihwa「ミチシルベ」(TOY'S FACTORY)
監督・脚本:熊澤尚人
企画・製作幹事:日活
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
製作:「ユリゴコロ」製作委員会
配給:東映/日活
(c)沼田まほかる/双葉社 (c)2017「ユリゴコロ」製作委員会
公式サイト:yurigokoro-movie.jp