「“素の山田涼介”を出したかった」 廣木隆一監督が明かす『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の撮影ウラ話

廣木隆一監督『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を語る

ーー実際に西田さんの演技や他の役者さんの演技を見て、考えていた構想を変更することはありましたか。

廣木:僕の場合、役者の芝居を見てからある程度考えたりするので、変えることは日常茶飯事です。頭の中で事前に描いている構想はひとつありますが、芝居を見てもっと良い案が浮かんだら、そのイメージで撮ろうって思う。門脇麦ちゃんが砂浜で踊るシーンも、もともと台本になくて、前日に「踊って」と話して踊ってもらいました。麦ちゃんとは、これまで何作か一緒に映画を作って、ダンスができるのは知ってたから、ずっとパフォーマンスしてほしいなと思っていたんです。実際の踊りもとても良かったし、嬉しかったですね。

セリ(門脇麦)「REBORN」MV

「常に『良い映画を作る』ことを念頭に」

ーー昨今、メールやLINEなどでコミュニケーションをすることが多い中、この作品では手紙にスポットが当てられています。手紙そのものの魅力を改めて伝えようという意図はあったのでしょうか?

廣木:昔はみんな一生懸命に手紙を書いていて、今はメールに変わったと思うんですけど、長文の人もいれば短い人もいて、本質的にはそんなに変わらないのではないかと考えてます。手紙の方がいいねとは思わないし、手紙のような文章をメールで送る人もいます。肝心なのは言葉ではないでしょうか。手紙とかツールじゃなくて、言葉。手紙もメールもちゃんと言葉があって、言葉がないと伝わらない。手書きであることに思いが込められていると感じるかもしれないけど、メールだって絵文字をつける人がいっぱいいるし、その人の個性があったりする。ツールが変わっていくのは自然なことだと思うので、改めてここで「手紙の方がいい」という意図はありませんでした。


ーー少女漫画原作の作品から、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のようなファンタジー作品まで、廣木監督は幅広いジャンルを手掛けています。作品のジャンルによって意識していることはありますか。

廣木:少女漫画原作の映画と『ナミヤ雑貨店の奇蹟』って、僕の中ではそんなに違うという認識はなくて、ただ“映画を撮っている”という意識だけです。パート2があっても、きっと同じようにはやらないと思います。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』でやるべきことは、すべてやり尽くしているので。もちろん、この作品でできたことを、次の作品で活かしたいなとは思いますが。ジャンルやシリーズには縛られず、常に「良い映画を作る」ことを念頭に、新しいものにチャレンジし続けたいですね。

(取材・文=大和田茉椰)

■公開情報
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
9月23日(土)全国公開
原作:東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇蹟」角川文庫刊
出演:山田涼介、村上虹郎、寛一郎、成海璃子、門脇麦、林遺都、萩原聖人、尾野真千子、西田敏行
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
主題歌:山下達郎「REBORN」(株)ワーナーミュージック・ジャパン
配給:KADOKAWA、松竹(共同配給)
公式サイト:http://namiya-movie.jp/

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