坂口健太郎、俳優としての強みは“世界観に染まる柔軟性” 『ごめん、愛してる』での新境地に迫る

俳優・坂口健太郎の現在地

 韓国をはじめアジア各国で大ヒットしたドラマのリメイク版『ごめん、愛してる』(TBS・21:00)で、天才ピアニスト役を好演中の坂口健太郎が、先日、自身のTwitterにピアノの練習動画を投稿。役柄そのままの見事な腕前は、「上手すぎて鳥肌」とファンを騒然とさせた。思えば、2月に公開されたmiwaとの共演作『君と100回目の恋』では劇中に登場するバンド「The STROBOSCORP」でギターに挑戦していたし、1月クールの『東京タラレバ娘』では原作コミックの設定通り髪を大胆に金髪にチェンジ。常づね役柄への取り組み方に真剣味を感じていたが、どうやらそれも見当違いではなかったようだ。

 昨年から今年にかけて出演した作品は、実に映画6本に連続ドラマ5本。文字通り引っ張りだこの中にあって、役作りをおろそかにしない姿勢からは、生来の生真面目さが透けて見える。そしてそれは坂口健太郎という俳優の魅力のひとつでもある。

 2010年、19歳でモデルデビュー。俳優として活動を始めたのはその4年後から。2015年、人気コミックの映画化で話題を呼んだ『俺物語!!』で主演のひとりを演じて以降、出演作が増加。朝ドラ『とと姉ちゃん』では主人公・常子を支える存在として存在感を見せ、幅広い世代へのアプローチにも成功した。一方、バラエティでも“塩顔イケメン”として取りざたされ、人気も急上昇。物腰柔らかな佇まいも一役買っている。

 そんな坂口が『ごめん、愛してる』で演じるサトルは、天才的なピアノの才能がある一方、病弱でどこか頼りなげにも見える弟キャラ。兄弟でありながら、母親に捨てられた主人公・律とは裏腹に、母の愛を一身に受けて育った“箱入り息子”だ。いわば律とは陰陽の関係にあり、サトルへの母の愛が強調されるほど、律の孤独が際立つという仕掛けを体現している。

 第5話では長年想いを寄せていた塔子とめでたく結婚したものの、幼馴染で長年そばで支えてくれていた凜華が律と抱き合っている姿を目撃。動揺した表情を見せたところで終幕となった。凛花の自分への想いを知ってもなお、塔子を選んだサトルが、決定的瞬間を目の当たりにしたことでどう心を揺さぶられるのか。また、それが彼らの人間関係にどんな影響を及ぼすのか。ある意味、次回以降のキーマンとして物語を混乱させていきそうな気配だ。

 これまで、少女漫画から飛び出してきたようなクールなイケメンや頑張り屋の好青年といった役柄が多かった坂口だが、無邪気な少年らしさを残したサトルのようなキャラクターは意外に新鮮。人懐っこく甘えるような笑顔にキュンとした女子も多いことだろう。それが、この秋公開の『ナラタージュ』では、三角関係の中で嫉妬に狂う青年を演じるというから楽しみなところ。また新たな表情で私たちを驚かせてくれるに違いない。

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