『ごめん、愛してる』波瀾の第二章へ 長瀬智也は何を得て、何を失うのか?
突然の頭痛に鼻血、そして手のしびれ……律(長瀬智也)に忍び寄る死の影が色濃くなっていく。8月13日放送の『ごめん、愛してる』第5話は、失うものと得るものの対比が描かれた回だった。
律は、実の母・麗子(大竹しのぶ)の愛は失ったままだが、凜花(吉岡里帆)、若菜(池脇千鶴)、魚(大智)と暮らすことで、穏やかな日々を送っていた。それは、初めて得られた“家族”の愛。捨て子だから誰かの役に立たないと生きている意味がない、と考えていた律にとって、1日に1回家族と食卓を囲む一日一膳が、一日一善と同じくらい1日に1回「生きていていい」と言われているような時間に感じられたのだろう。
だが、そんなささやかな幸せも、簡単に奪われてしまう。若菜の売店が襲われ、仕事を失ってしまったのだ。7歳児と変わらない知能の若菜だが、「魚の母ちゃんだから、自分でなんとかする」と母親であることを自覚し、懸命に立ち上がる。律も若菜も、肉親からの愛情を得られずに育った。だからこそ目の前の家族に対するこだわりは人一倍強いのかもしれない。失ったのなら、自分が与える。そうすることでしか、愛を得る術はないのだ。
サトル(坂口健太郎)への思いを断ち切るように出て来た凜花も、失った恋心を埋めるかのごとく律たちに愛情を注ぐ。それでも気になったサトルのステージ。だが、ひとりでも立派にコンサートをやり遂げた姿を見て、やはり“私がいなきゃダメなんだ”というのは、自分の願望だったのだと実感する。一方、サトルは凜花を手放して初めて、その存在の大きさに気付いていた。だが、そんな迷いを振り払うように急いで塔子(大西礼芳)との婚約パーティーの準備を進めるのだった。もう失ってしまったものを追うようなことはできない、と。
また、これまで奔放な恋愛をモットーにしているように見えた塔子も、親へのコンプレックスがあったことが明かされる。家庭を顧みなかった父親を見て育ち、恋愛も結婚も本気にならないと決めたのだ。しかし、それほど自分の生き方に影響を及ぼした父親も重い病を患っていた。父親に当てつけるかのように結婚を受け入れた塔子。彼女もまた、父を失う代わりにサトルを受け入れようとしたのかもしれない。憎むのは、愛するのと同等のこだわるということなのだ。