『ウチの夫は仕事ができない』松岡茉優、振り切れた妄想キャラで異彩放つ
ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)は、仕事ができない小林司(錦戸亮)が主役であるが、彼に負けず劣らず強烈な人物がいる。司の妻である沙也加(松岡茉優)だ。楽観的で、妄想に入り込みがちな彼女。第1週目から、インサートしていた沙也加の妄想にて繰り広げられるミュージカルは、劇中の中でも飛び切り異彩を放っている。
社内報に間違えて掲載された司を見て、沙也加は天にも昇るような気持ちとなる。そこから突入するのが「輝くshineの歌」。青い空、白い雲。『ウエスト・サイド・ストーリー』を彷彿とさせるダンスと曲調に、歌詞は<わたしのわたしの夫/コバヤシツカサ/ツカサコバヤシ/シャイン!!>とフィニッシュ。「shine」と「社員」をかけているのは、言うまでもない。
そして、第2週目で展開された妄想楽曲は、「かなしい時の歌」。沙也加はマタニティー友達、通称マタ友と、もんじゃランチをしていると、「貧乏をすると生活の苦しさから、品性も知的要素もなくなって別人のようになる」と子供を養うことの大変さを教えられる。貧すれば鈍する。そこから、沙也加の妄想は爆発。造花の内職をする沙也加。夕暮れのオレンジが汚れた障子と沙也加を染める。泣きわめく子供。空っぽの哺乳瓶。そこに帰ってきたやさぐれた姿の司は暴れ、家に残ったお金を奪って街に消えていく。……と、これ全て彼女の妄想なのだが<死んだ魚の眼をしてた>から始まる侘しい歌詞とメロディーは、思わずクスリとしてしまう。
さらに、沙也加の妄想は加速する。書店で「できない男の自分にとっての“バイブル”」と書かれた本を購入した沙也加。そこには、「プレゼンを制する者が仕事を制する!」と書かれていた。「ハッ!」という彼女の声から、シーンは司が“できる夫”として、会社でプレゼンを決める姿が。段々と昇進していく毎に、プレゼンの場は大きくなっていき、終いには司がなぜか大統領に。そこには、大統領のファーストレディーとして沙也加が登場。<期待の/プレジデント>と「輝くshineの歌」の替え歌で再びミュージカルが上演されるのだ。
沙也加は司をできる夫にするため、プレゼンの訓練として「その日あった出来事を全部話す」ことを提案する。司の話に登場する黒川晶(壇蜜)を沙也加は、その名前の響きと「筋が通ってて、空手部」という特徴から、ダンディーな男性を妄想する。まるで、アンジャッシュのコントのように、ずれていく二人のトーク。黒川に飲みに誘われたことを沙也加に伝えると、彼女はバイブルの教えから「先輩が酔っ払ってしまったら、ご自宅までお送りください」と助言をしてしまうのだった。