嵐メンバー主演映画に変化の兆し? 『忍びの国』『ナラタージュ』大人客を魅了する良作続く
思えば、嵐のメンバーも全員がもう30代半ば。アイドルとしてはまた別の話になるのだろうが、少なくとも役者としては、今後も精力的に活動して充実したキャリアを歩んでいくのか、あるいは役者の仕事からは距離を置くことになるのか、演じる役柄の年齢的にも大きな岐路に立っている時期だ。そんな重要なポイントで、こうして各メンバーの主演映画で大人向けの良作が続いていることは、今後大きな意味を持つことになるはずだ。また、その背景には、かつての「テレビドラマ」と「映画」のメディアとしてのパワーバランスが現在崩れつつあって、「映画」の価値が相対的に高まっていることもあるだろう。
松本潤主演作『ナラタージュ』以降も、今年11月には二宮和也主演作『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』が公開、そして来年には櫻井翔主演作『ラプラスの魔女』、さらには木村拓哉と二宮和也のダブル主演作『検察側の罪人』と注目作の公開が控えている。『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』は滝田洋二郎、『ラプラスの魔女』は三池崇史、『検察側の罪人』は原田眞人と、それぞれの作品を手がける監督も、日本映画界を代表するビッグネームばかり。今年から来年にかけて、「大人向けの実写日本映画のメジャー作品」の底上げの鍵を握るのは、嵐のメンバーが主演する作品になっていくのではないか。そんな予感がする。
■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)。Twitter
■公開情報
『忍びの国』
全国東宝系にて公開中
出演:大野智、石原さとみ、鈴木亮平、知念侑李、マキタスポーツ、平祐奈、満島真之介、でんでん、きたろう、立川談、國村隼、伊勢谷友介
原作:和田竜『忍びの国』(新潮文庫刊)
監督:中村義洋
脚本:和田竜
製作:映画『忍びの国』製作委員会
(c)2017 映画『忍びの国』製作委員会
公式サイト:http://www.shinobinokuni.jp/
『ナラタージュ』
10月7日(土)全国公開
監督:行定勲
出演:松本潤、有村架純、坂口健太郎、大西礼芳、古舘佑太郎、神岡実希、駒木根隆介、金子大地、市川実日子、瀬戸康史
原作:島本理生「ナラタージュ」角川文庫刊
脚本:堀泉杏
製作:「ナラタージュ」製作委員会
配給:東宝=アスミック・エース
(c)2017「ナラタージュ」製作委員会
公式サイト:http://www.narratage.com/