亀梨和也“ぼんきゅっぼんの法則”で大逆転! 『ボク、運命の人です。』で作り出した運命とは
誕生日プレゼントに指輪を贈ることに成功し、誠(亀梨和也)と晴子(木村文乃)の交際が順調に進むものと思われた先週の第7話。ところが最後の最後で妙に不穏な終わり方を迎えたことが気にかかった。第1話の冒頭で登場した、誠の元恋人の美人局が再逮捕され、さらに山下智久演じる自称“神様”が突然いなくなるところで幕を下ろしたのだ。
3日に放送された『ボク、運命の人です。』第8話は、先週のその不穏な空気を受け継いで、かなり波乱の展開を見せる。同僚との飲み会の席でたまたま晴子の父親・大地(杉本哲太)に遭遇した誠だったが、そこで誠の元恋人が逮捕されていたことを知った大地は急に顔色を変える。それまで誠に好意的に接していた父親が手のひらを返したように、二人の交際に反対を表明するのであった。
つまり今回誠に与えられた試練は、「父親からの信頼を取り戻すこと」。結婚を前にして、相手の親から認められるというのは、いつの時代においても重要なことである。しかし、地球を救うためにはあと1か月以内(厳密にいえば3週間以内)に晴子との結婚に辿り着かなくてはならない誠にとって、突然立ちはだかった大きな試練である。何せ、晴子本人よりも先に誠の人間性を認めてくれたのが大地だったからだ。
第2話で会社からのボーナスを獲得して晴子へのプレゼントを買おうと目論んだ誠が、飛び込んだ営業先で偶然出会い、そのまま意気投合した大地は、何度も晴子に「正木君のような男が相手なら」と言い続けていた。それだけに、今回の試練は誠にとっても予想外の展開だったであろう。しかしそこは、“神様”曰く、「百年に一度の波」。「ダメってレッテル張られたほうが、人は奇跡を起こしやすい」という通称“ぼんきゅっぼんの法則”をもって大逆転を狙いに行くのである。
その過程として、大地の趣味であるゴルフを始めるという“神様”からの指示の傍ら、大地の会社の後輩である国枝(加藤諒)を応援し、彼のボクシングのデビュー戦を見守る誠。いつものように“神様”からの指示ではなく、「ボクシングは努力を裏切らない」と語り、必死で目標のために頑張る国枝の姿に心を打たれ、誠自身の考えで行動に移したのである。これは、晴子との恋を成就させた誠が、人間的にひとつ成長した証ではないだろうか。(しかも2008年に放送されたドラマ『1ポンドの福音』でボクサーを目指す青年を演じていた亀梨だけに、シンパシーを感じることにすごく説得力があるわけで。)
その結果、第1話で晴子と運命的に遭遇したクラシックコンサートと同じシチュエーションが今度は大地との間で起こり、さらに試合に負けた国枝のためにジムの会長に頭を下げている姿で大地の心を動かす。“神様”が「運命は遺伝しない」と言った代わりに、誠は自ら運命の相手の父親との新たな“運命”を作り出すことに成功したのだ。ところで、この試合後の場面。誠が会長に頭を下げているところを大地が偶然目撃するわけなのだが、きっと大地は国枝を励ますためにあの場所を訪れたのだろう。もう少しタイミングが早ければ、あの高校野球の試合後の誠に晴子が掛けた言葉と同じように、「よく頑張った!」と言っていたに違いない。