亀梨和也&山下智久『ボク、運命の人です。』で名台詞連発 『プロポーズ大作戦』との共通点を読む

 人を好きになる意欲を失った晴子(木村文乃)への想いを募らせる誠(亀梨和也)は、“神様”(山下智久)から命じられて、何故か人参嫌いの烏田部長(田辺誠一)に、人参を好きになってもらう作戦、通称「ゆるふわキャロット大作戦」に乗り出す羽目に。無論、食べ物の好き嫌いというのはそう簡単に克服できるものではないから、困難の連続が待ち受けている。

 『ボク、運命の人です。』の第4話では、恋愛への複雑な悩みを抱えたヒロインに対し、主人公がどう向き合っていくかが描かれた。この主人公が、よく言えば潔い直球勝負にも見えるが、悪く言えばなかなか無神経なキャラクターなように見えてしまうから困りものだ。しかし、それを周囲のキャラクターがきちんとカバーし、食べ物という最も身近で根が深い“好き”と“嫌い”に置き換えて理解させることで、よりこのドラマのロマコメらしい単純明快さを際立たせる。

 「嫌いなものはいきなり好きにはならない。まず可も不可もない状態まで持っていく」。如何にして部長に人参を食べてもらうかに悩む誠に対して、大倉孝二演じる会社の先輩・関原に誠が放つこの台詞はまさに、最初の出会いで持たれた悪印象を引きずり続け、そのせいで晴子との恋が上手く進まないと思っている誠に向けた会心の一撃だ。

 第1話のときに、“神様”を演じる山下智久のキャラクター造形が、本作と同じ金子茂樹の脚本である『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)に重なることに触れた。(参考:亀梨和也&山下智久コンビ、『ボク、運命の人です。』と『野ブタをプロデュース。』の共通点)それだけでなく、前回の「クラシック音楽100曲覚える」や、今回の「上司に嫌いな食べ物を克服させる」という、直接的に影響を与えないような命題に向き合うあたりも、いくつもの後悔をやり直していくことで現在を変えようとした『プロポーズ大作戦』の方法論と似ている。

 そうなれば、数々の名台詞が生み出された『プロポーズ大作戦』のように、むしろそれを上回る新たな名台詞の誕生への期待値がますます高まってくる。第3話までは、あまり印象に残る台詞が登場してこなかっただけあって、今回の第4話はとくに、金子茂樹脚本らしい名台詞のオンパレードが目立った。

 前述した大倉孝二の台詞をはじめ、序盤で労いの言葉をかけてくる山下に対して亀梨が言う、「好きっていう気持ちはそう簡単に終わらないの」。さらに終盤で山下が発する「愛の押し売り上等です」など、今回の劇中の言葉を借りれば、「渾身の名言いただきました!」と言いたくなるようなインパクトと哲学性を兼ね備えたものばかり。

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