LA市庁舎で大規模イベント開催! 『ラ・ラ・ランド』に見る、映画と政治の関係
その後、楽曲賞受賞曲「City Of Stars」の演奏にガルセッティ市長がピアノで参加し、市長の“『ラ・ラ・ランド』好き”がオフィシャルになったところでイベントは終了した。ちなみに、ガルセッティ市長は日本の玉川大学高校に短期留学をしていた親日家。彼の日本好きは、元ロサンゼルス検察局長で現在は写真家としても活躍する父親ギル・ガルセッティの影響なのだそうだ。検察局長時代にはO.J.シンプソンの裁判を担当し、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞の『O.J.: Made In America』において、事件以来初めて公の場で語ったことも話題となった。そもそも、このドキュメンタリーの監督は息子エリックの友人で、息子が出演交渉に一役買っていたとみられる。2月末に行われたアカデミー賞は、映画の都ロサンゼルスが世界中の注目を集める場。今年の3月に二期目のロサンゼルス市長選を控えたエリック・ガルセッティ氏が、『ラ・ラ・ランド』が見せるロサンゼルスの楽しく美しいイメージや、世界的に有名な父親の偉業を自身の売名に使ったとしてもおかしくない。だがそれだって、選挙を控えた政治家ならどんなロビー活動だって票の足しにするはずだ。
では、『ラ・ラ・ランド』のバックラッシュとはなんだったのか。昨年の夏に海外映画祭でお披露目し、12月の公開までは順調満帆に評価を上げ、1月のゴールデングローブ賞7部門受賞、アカデミー賞最多14ノミネートで最高潮を迎えた。以降は、評価は上げ止まり、その瞬間にアカデミー賞の投票が行われた。「自分が入れなくても、他の人が『ラ・ラ・ランド』に投票するだろう」ーーーそんな風潮が風向きを変えてしまったのだ。同じことは、昨年世界を震撼させたBREXITやトランプ大統領の誕生にも現れている。ひょっとすると、今週末のフランス大統領選だって、二度あることは三度ある(アカデミー賞を入れると4度目)かもしれないーー。
(文=小川詩子/米国在住)
■公開情報
『ラ・ラ・ランド』
全国公開中
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ
提供:ポニーキャニオン/ギャガ
配給:ギャガ/ポニーキャニオン
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Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.
公式サイト:http://gaga.ne.jp/lalaland/